向上・大木誠監督「勝負は時の運だし…やれることをしっかりやりましょう」
9月8日、第103回全国高校サッカー選手権神奈川予選の2次予選1回戦が行われ、向上が横須賀総合に延長戦の末5-2で勝利し、2回戦進出を決めた。 【フォトギャラリー】横須賀総合 vs 向上 「よく0-2からひっくり返しましたね」と試合後、向上・大木誠監督は安堵の表情を浮かべた。 試合開始早々の5分、横須賀総合のFW11神優太朗にドンピシャのヘディング、さらに18分にはMF7井上然に見事なゴラッソを浴びた向上。DF4西垣唯翔の身体を張ったゴールで1点を返すも追う立場でハーフタイムを迎える。 「落ち着いてもう一回原点、最初に入ってきた時から数的優位を作りましょうとか、状況見てやりましょうとか言われてきたよね。それが最初に点をパンパン取られちゃったから、あとは蓋をして、何をしたらいいんだろう?どうしよう?蹴り合っちゃう?蹴り合ったらやっぱり相手のが上でしょ。相手速いし、巧い選手多いし…そこをやっぱり同じことをやってもできない訳だから自分たちがやってきたことをもう一回振り返ってごらん」と指揮官は指示を出した。 落ち着きを取り戻したイレブンは、69分、DF2坂元愛樹のゴールで試合を振り出しに戻す。 「自分たちが『ハッ』と気づいて、自分たちの原点、目指すところを思い出して…よくできたってよりは良く元に戻ったなみたいな感じです。でもやっぱり最初からできないと…できた方がいいけど、こういった公式戦だと緊張もあれば、相手もあれば、気温もあれば、色々なものが重なってなかなかできないこともありますけど、それをよくみんなで取り戻したかなと思います」と指揮官も厳しい言葉の端に優しさを滲ませる。 こうなると追いついた側は強い。突入した延長戦ではMF 鈴木翔大がNo.10のプライドを魅せ2ゴールをあげると最後は途中出場のFW11 高橋悠介がダメ押しゴールを決め応援席を沸かせ笑顔に導いた。 「ああいうことができるなら、最初からやればいいのに(笑)。ああいうことをやって試合をしましょうということを目指してやってきたのだから。ああやってやったら観ている人も面白いなって思ってくれると思います」と、これには指揮官も苦笑いを浮かべる。 2回戦の相手はK2リーグに所属する平塚学園、いわゆる格上との対決。 「まずは最初から自分たちができること、ずっとやってきたことをしっかりやって、それで勝てればいいし、負けたとしてもそれは何かが足りなかったんだな、勝負は時の運だし…やれることをしっかりやりましょうってことですね」 苦しんだからこそ思い出すことができた自分たちの原点。やり切ったその先には次の勝利も見えてくる。 (文・写真=西山和広)