長谷川博己演じる“アンチヒーロー”が話題! ドラマ監修の弁護士が尽力するリアルとエンタメの「いい塩梅」
監修者も気になるドラマへの反応
――監修としてかかわった作品で、一般の方や同業者の反応はやはり気になりますか。 國松弁護士:それはもちろんありますね。私は専門家として法律や実務に基づいた助言を出しますが、最終的には、いろいろなバランスを見ながら監督を中心とした制作陣が判断していくわけです。制作陣がやりたいことをきちんと理解した上で、具体的な表現の違和感のレベル感を伝え、「とことんリアルに行くか」、「あえて非リアルを飲み込んでエンタメに振っていくか」、その選択肢を提供するのが私の仕事だと思っています。「エンタメとしてどう見せたいか」と「法律のリアル」、その塩梅には常に気を配っています。 やっぱりポジティブな意見をいただければ嬉しいですが、同業者からの指摘も勉強になりますし、次の場面に活かそうと肯定的に受け止めるようにしています。 ――先生が番組制作に関わるようになった初期のころ(2014年頃)と比べると、SNSなどの普及で一般の方はもちろん、さまざまな専門家からも意見が出やすい状況になっていると思います。監修に対するテレビ局側の意識の変化はありますか。 國松弁護士:昔と比べると意識は高くなっていると思います。ドラマ制作の方たちは、当然「これはあくまでフィクション」という意識を持っているとは思うんですけど、一方でSNSでさまざまな意見が可視化され、それがドラマの評判、ひいては役者さんの評判にもつながりかねないわけですから、エンタメを大事にしつつ、一方であまりに設定が破綻しないようにバランスを調整しようと考える傾向になってきていると思います。最近はバラエティ番組、特に情報系の番組でも監修を入れるケースが増えています。 ――正しい情報が出ることは良いことですが、作る方は大変になっているわけですね。 國松弁護士:そうですね。法律監修、医療監修などはもはや定番になりましたが、今は料理監修とか他にもいろいろな監修があります。『アンチヒーロー』も法律監修、警察監修、医療監修、刑務官監修などが入っています。刑務官監修は手錠のかけ方とか、腰縄のまき方などを監修されているみたいですよ。