イム・シワン、役にかける思い―「ボストン1947」。人生初の体脂肪率6%に!
──映画の終盤に登場するボストンマラソンのシーンがとてもドラマティックでした。撮影の際はどんな点を工夫されましたか。 カン・ジェギュ シナリオの段階からいろいろ悩みました。実はもともとハ・ジョンウさん演じる監督のソン・ギジョンがソ・ユンボク選手と並走するシーンはそれほど多くありませんでした。しかし、この映画では走る人だけでなく、それをじっと見つめて励ます人たちの気持ちの表現もすごく大事なことだと思えたので、ハ・ジョンウさんのアイデアを取り入れながら、撮影、編集を行い現在の形になりました。今回の作品では、さまざまなディテールについて俳優たちといろいろ話をし、アイデアを出しながら作っていく過程がとても楽しかったです。 ハ・ジョンウ ソ・ユンボク先生の役を演じるためにシワンさんがどんな準備をしてきたか、ずっと横で見ていたので、大会のシーンを撮るときは応援したいという感情が自然に湧き上がってきました。完成した作品を見たときも、とても立派に表現してくれていると感じました。おそらくソ・ユンボク先生も喜んでくれているのではないかと思います。
──1947年を背景とした映画を今、作らなければならないと考えた理由は? カン・ジェギュ 「ブラザーフッド」(04)の後、SF映画を作りたいと思って準備していたことがありました。結局、その映画はうまくいかなかったんですが、その過程で「未来を表現するというのはどういうことだろう?」と考えるようになりました。そして、私たちが生きてきた過去の姿をしっかりと振り返ることも未来を予見することになる、過去を扱うこともある意味ではSFといえるんだなと、知らず知らずのうちに思うようになりました。そして、過去に存在した偉大な足跡についていっそう関心を持つようになり、本作を作りました。 ──最後に観客の皆さんへのメッセージをお願いいたします。 カン・ジェギュ 過去の話というと、少し古臭くさくて面白くないような気がしますし、困難の中で今を生きる人たちの中には「あえて今、見る必要があるだろうか」と考える方も多いかもしれません。しかし、先人たちが生きてきた歴史の中にはすばらしいストーリーや人間たちがたくさん存在します。それぞれの人生を生きていく上で、過去を振り返ってみることは力になるし、勇気を与え、役にも立つということを、この映画を通じて感じていただけたらうれしいです。 イム・シワン 私はこの映画に参加したのをきっかけにマラソンの魅力を深く知ることができ、健康的な趣味を持つことができました。みなさんにもぜひ見ていただいて「いい映画だ」と思っていただけたら、本当にありがたいです。 文=佐藤結 制作=キネマ旬報社
「ボストン1947」
監督・脚本:カン・ジェギュ 出演:ハ・ジョンウ、イム・シワン、ペ・ソンウ、キム・サンホ、パク・ウンビン 配給:ショウゲート 2024年8月30日より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほかにて全国公開中 © 2023 LOTTE ENTERTAINMENT & CONTENT ZIO Inc. & B.A. ENTERTAINMENT & BIG PICTURE All Rights Reserved