クラウド会計「使ってみた」(1)会計知識なしで使える会計ソフトが欲しい
会計ソフトでは、「借方」と「貸方」を記入する欄が表示されます。それぞれの欄を選んで、必要な文字や金額を入力すれば、複式簿記による帳簿ができあがる寸法ですが、問題は、一体何を記入すればいいのかまったくわからず、ソフトも教えてくれないという点にありました。 事業活動では、「原稿料が銀行口座に振り込まれた」「図書館で新聞のコピー代を支払った」など、取引のパターンがいくつも発生します。会計処理をはじめた当初は、それらの取引の仕訳方法を、1つひとつインターネットや書籍を使って自力で調べなければならず、それだけで疲れ切ってしまいました。 勘定科目の分類にも悩みました。電車代やタクシー代なら「旅費交通費」だと簡単にわかりますが、「外出先で原稿を作成するため、カフェに入ってコーヒー代を支払った」場合はどの勘定科目なのか、判断がつきかねるケースが多々あります。 複式簿記の知識の乏しさを痛感したのですが、数か月に1回、会計処理をする時に調べる程度ではなかなか身につきません。「借方」「貸方」の意味を何回調べたことか。しかも、いまだに覚えられないのです。 会計知識のなさもあり、入力作業は煩雑でした。取引は、すべて手作業で入力します。現金払いによる取引も、銀行振込やクレジットによる取引も、すべて1件ずつ手入力です。気をつけてはいましたが、それでも入力間違いが何度もありました。 いくら苦労しても、確定申告がすんなり済めば問題なかったのですが、そうはいきません。今年3月に税務署で確定申告の書類一式を提出する直前、青色申告の相談コーナーでチェックしてもらったところ「開業資金が入っていない」などと誤りを指摘され、その日の提出をあきらめざるを得ませんでした。 無駄足を踏んでがっかり、というよりも、「今までの入力は、本当に正しいのだろうか」と考えてゾッとしましたが、ともかく相談コーナーで教えてもらった指摘内容と、長年フリーで放送作家をやっている知人のアドバイスをもとに、書類を訂正。2日後に税務署を再訪し、どうにか書類を提出しました。