維新「説明会」で“口撃” 執行部批判に馬場代表は「あなたは選挙を知らない」と応戦 幹部が語る“自維交渉”の裏側
政策活動費「10年後公開」に異論続出
説明会で意見が集中したのは、維新が自民の法案に盛り込ませた、政策活動費の領収書の「10年後公開」だ。近畿地方の市議からは、「10年って何なん?と、みんな突っ込まれる」と悲痛な声が上がった。関東地方の立候補予定者からも「自民党のための10年だ。維新もそこに近づいて、10年間公開しないのか」と疑問が投げかけられた。 「10年」の根拠を問われた音喜多政調会長は、「外交文書に合わせると理屈が立つので、30年と提案したが、長すぎるという意見が大勢を占めた。日銀の政策決定会合(の議事録)は10年。海外(トップの任期)は、だいたい2期8年。10年経てば政治勢力も一周するだろうということで、そこそこ合理的な説明ができる」と説明した。 大阪府知事の吉村共同代表は、「政策活動費について、完全廃止にすべきじゃないかと、僕は思っている」と提案。藤田幹事長は「前向きに検討する」と繰り返して廃止提案を“受け止める”方向性は打ち出したが、廃止に賛同する意見はさらに続いた。 最後に声を上げたのは、自民党との交渉にあたってきた遠藤国対委員長だった。「1点、決めていいですか。10年後の領収書については、全くその通りだと思う。10年というのは、もう自民党との話は反故になっているから、ゼロベースで考えたらいい。大前提が崩れているから、この方向で打ち出してやっていくべきだ」。1時間後に行われる藤田幹事長の記者会見で、「維新は政策活動費を廃止する」と発表することも決まった。
自民との交渉の「裏側」
記者会見から2時間後、遠藤国対委員長に単独インタビューを行った。説明会について、「耳の痛いことも言って当然だし、言われることを嫌がっていてはあかん。うまく文通費改革ができていれば、こんなことになっていなかった。大きな責任は感じているので、その話もさせていただいた」と振り返った。 地方議員らに説明した自民党との交渉経過の裏側についても聞いてみた。維新は、企業団体献金の禁止も含めた10項目の要求を自民に提示していたが、あっさり断られていた。しかし5月29日、岸田首相の最側近である木原誠二幹事長代理から、一転、協議に応じる電話があったことが判明している。遠藤氏は、木原氏の名前は伏せながら、交渉の内幕を語り始めた。 遠藤氏は「電話のスタートは、『文通費をやります』と。『今国会中にやれ』ということも、僕は言っていた。そうでなかったらこの話に乗るわけがない」と語気を強めた。岸田首相の意向だという話が本物なのか、自民の森山総務会長に「裏取り」も依頼したという。その結果、「岸田首相は本気だ」と確信し、交渉がスタート。2日後の5月31日には、党首会談で合意文書を交わした。 その後、旧文通費は国会会期末までの法改正が不可能となり、維新は猛反発。参院で政治資金規正法の自民案に反対に回ることになる。遠藤氏は、「(旧文通費の法改正に必要な)有識者の日程が合わないって、もう1週間早く分かっていたら、衆議院で反対している。参議院でコロッと変えたわけじゃない」と悔しがる。 自民に「だまされた」と語るが、最初からだます気だったわけではなく、自民党内の統制が取れていなかったことが原因だと、遠藤氏は考えている。「岸田政権のやったことは信用できない。自民党の中でも、一生懸命最後まで頑張ってくれた幹部もおられて。一緒くたにして丸々ウソつきだというのは、ちょっと違う」と語る。森山総務会長、渡海政調会長、山口衆院議運委員長が、旧文通費改革をせめて衆院だけでも可決できないかと、国会最終日まで奔走していたと、感謝と敬意を繰り返した。