石橋貴明さん、甲子園は「夢のような場所だった」 センバツ開幕
「とんねるずのみなさんのおかげです」や「とんねるずのスポーツ王は俺だ‼」などの人気番組で知られるタレントの石橋貴明さん(62)。東京の強豪・帝京高野球部出身で、40年以上前の選抜高校野球大会(センバツ)の甲子園練習で、聖地に足を踏み入れた。「夢のような場所だった」と話す石橋さんが、創設100年を迎える18日開幕の第96回センバツに合わせて、鮮明に残る思い出や高校野球への提言を語ってくれた。 【写真まとめ】2023センバツ 躍動したドラフト指名選手たち ◇甲子園に出場した選手に望むことは…… 帝京はセンバツの1978年大会で、春夏通じて初の甲子園出場を果たした。石橋さんは当時は新2年生で、出場メンバーではなかったが、開幕前に行われる甲子園練習に参加した。「初めて16歳の少年が甲子園球場に足を踏み入れて、夢のような場所でしたね。あの感触、土の感触。本当に今でもこう、スパイクがグッと甲子園球場に足を踏み入れた時のあの感じ。ずっと覚えていますね」と懐かしむ。 センバツで印象的だったのは、73年大会に出場した作新学院(栃木)の江川卓投手(元巨人)という。「兄と一緒にテレビで見ていました。すごい球を投げていて、打者がバットに当てて、ファウルになっただけで歓声が上がりました」 写真撮影の際、硬式球を手にして「関東の剛腕」とおどけた石橋さんは、高校時代は投手だった。「球は速かったですよ。ただ、体が硬くてね」。1学年上と下の代は甲子園に出場したが、自身が最上級生の時は聖地と縁がなかった。甲子園を「本当に出られない場所」と表現する。 だからこそ、甲子園に出場した選手に望むことがある。「甲子園の土を踏んだ選手は、地元に帰って『甲子園ってすげぇ、いいところだぜ』というのを伝えていってほしい。そうすれば、子供たちも『お兄ちゃんみたいに甲子園行きたい』となるんで。甲子園の良さを伝えてほしいな」 その言葉には、野球の競技人口の減少に強い危機感を覚えている背景がある。「参加校もすごく減ってしまった。このままでは手遅れになる。いや、もう手遅れかもしれないぐらい。(米ドジャースの)大谷翔平君みたいに、グラブを配るとかしてね。親しむ機会を作らないといけない」と提言する。 石橋さん自身も野球の楽しさを伝えたい思いがある。その一つが、球場に野球盤ゲームを再現して対戦する「リアル野球BAN」というテレビの特番コーナー。石橋さんは「リアル野球BAN」を長く続けており、今年で63歳になる。「来年のお正月も番組ができたら、僕は『あぶさん』越えなんですよね」。2022年に亡くなった漫画家の水島新司さんの作品「あぶさん」の主人公は62歳まで現役を続けた。「いったい、何歳までやるんだろうな。でも、水島先生もお墓で喜んでくれると思います」と笑う。 私(記者)は「みなさんのおかげです」を見て育った世代。石橋さんは憧れの存在だ。取材前は緊張したが、とても気さくで、一を聞けば百を答えてくれた。 特に印象的だったのは、取材を終えた最後のひと言。石橋さんは自らこう切り出した。「(今年のセンバツが)いい大会になるといいですね」。野球愛の深さを感じた。【岸本悠】