第10回ふくしま産業賞 銀賞 アグリ・コア(福島県相馬市) 温室ワサビ安定供給
微生物を含む培土と特殊な肥料、ITを活用し、温室内でワサビを栽培する技術を開発した。栽培方法をマニュアル化し、他の企業、農業団体に提供している。 気候変動の影響などで福島県内でもワサビの生産量は減っている。一方、世界では日本食が流行し、ワサビの需要は高まっているという。安定した供給を目指して2019年度に暑さや病気に強い栽培技術の確立に乗り出した。新たな技術により連作もできるようにした。温度管理や施肥などにIT技術を用い、自動制御で作業を省力化させた。 栽培したワサビは香りや辛みのバランスが良く、料理の味を引き立てる。相馬市内外の飲食店や宿泊施設で提供されており、「相馬わさび」と名付けて直売所などで販売している。松川浦特産のアオサノリと合わせたつくだ煮や、スイーツに取り入れられた。 現在は年間1万株ほど出荷している。アジア圏への輸出を始めるなど販路拡大に力を入れている。今後は一層生産性を高める研究を進める予定だ。吉村巧社長(65)は「高齢化や自然災害などで栽培をやめる生産者が増えている。ワサビの魅力を広め、認知度を高めたい」と誓う。
■メモ ▷設立=2007(平成19)年4月 ▷社長=吉村巧 ▷従業員数=7人 ▷住所=相馬市柚木字一ノ坪115の1 ▷電話番号=0244(26)9844