小曽納さん(茨城・水戸)最優秀 ロンドン写真賞自然部門 カワセミの躍動活写
世界の優れた写真家を表彰するコンテスト「2023年ロンドン写真賞」の自然部門で、茨城県水戸市の写真家、小曽納久男さん(69)が年間最優秀に輝いた。受賞作のタイトルは「Kingfisher(カワセミ)」。獲物の魚をくわえ、水しぶきを上げて飛び立つカワセミの躍動を活写した。小曽納さんは「光栄に思う。近年テーマに据えるカワセミが海外で認められてよかった」と喜びを語っている。 小曽納さんは1955年、旧内原町(現水戸市)生まれ。高校卒業後、会社勤めの傍ら本格的に写真を始める。20代は一眼レフカメラを片手に山岳愛好会の縦走ツアーなどに参加し、風景撮影に没頭。その後は、関東や東北をフィールドに独学で写真の技術を身に付け、90年代にはパリの街角を撮るため、同地に3回渡った。 現在はプロの写真家として水戸市内にスタジオを構え、ドローンによる動画撮影も手がけるなど幅広く活動する。県立笠間高では非常勤講師を務め、生徒たちに撮影の基礎を指導している。 野鳥撮影はフィルム時代の約30年前から取り組み、デジタルカメラの性能が飛躍的に向上した近年はカワセミに注力。冬の時期は、県内の湖沼を拠点に約60日間撮影を行う。これまで県内外の美術館やギャラリーで作品を発表する。 「2023年ロンドン写真賞」は、人物、自然、建築、芸術など9部門が設けられ、世界55カ国からプロ・アマによる約3800の作品が寄せられた。自然部門に応募した小曽納さんは「自分の美意識や感性を海外の人にどう受け入れられるのか興味があった」と動機を語った。 受賞作は、カワセミを題材としたシリーズ「青い狩人 翡翠(ひすい)」の一こま。季節は12月初めで、撮影場所は同市内のとある水辺だという。魚を狩るカワセミのリアルな姿を捉えるため、望遠レンズを付けたカメラを数台を設置し、テントの中からリモートコードで同時にシャッターを切った。逆光気味のカワセミは、影を帯びた瑠璃色の羽毛とは対照的に翼が光り輝く。精細に描写された水しぶきも躍動感を伝えるなど、熟練の技が発揮された。 海外で認められた小曽納さんは「今後もカワセミを究めるとともに、人物ポートレートなども撮っていきたい」と意欲を示した。 受賞作を紹介するウェブサイトのURLは次の通り。https://londonphotographyawards.com/winner-info.php?id=2296
茨城新聞社