ジャパン・ツーリズム・アワード 越前市観光協会に長官賞
国内外の観光による持続可能な地域活性化の取り組みを表彰する本年度の「第8回ジャパン・ツーリズム・アワード」で、福井県越前市観光協会が上位3番目の観光庁長官賞を受賞した。市内に3産地が集中する伝統工芸の価値に共感する「トップ層」を地元に招き、ビジネス創出につなげる取り組みが評価された。市観光協によると、県内団体では過去最高位の受賞となった。 アワードは日本観光振興協会などが主催し、国内外の行政機関やNPO法人、旅行会社などから119件の応募があった。審査結果が26日に発表され、38件の受賞が決まった。国土交通大臣賞1件、経済産業大臣賞1件に次ぐ観光庁長官賞3件の一つに市観光協の「伝統産業の未来を切り拓(ひら)く 産地事業者と協働した『トップ層』誘客への挑戦」が選ばれた。 市観光振興プランは、観光客入り込み数獲得を前面に打ち出さず、各界に影響力のあるクリエーターら「トップ層」を最優先のターゲットに位置付けている。プランに沿って市観光協は2023年度、日本を代表する建築デザイナーの小坂竜さんを越前和紙の産地に招待。インテリア素材の全国展示会への和紙ブース出展につなげ、事業者の商機をつくった。 和紙や瓦などの素材をプロにPRするツアー企画、市内に拠点を構えた人気クリエーター集団「ペリメトロン」の人脈で招いたミュージシャンらの産地視察にも取り組んだ。トップ層との連携や発信による産業消費額の向上に、観光政策として注力している独自性が評価のポイントになった。 市観光協の担当者は「誘客というよりは産地へのビジネスマッチング。観光の手段で外との新たなつながりをつくることで、産業の活性化や課題改善の支援をしている」と説明。「越前市が一丸となった取り組みが認められてうれしい」と話している。 このほか県内では、一般社団法人SOE(鯖江市)が、工房開放イベント「RENEW」や通年型の体験事業などを通じた産業観光による地域づくりで、審査員特別賞を受賞した。 9月26日に東京ビッグサイトで開幕する「ツーリズムEXPOジャパン」で表彰式が行われる。