「クリスマスケーキ」には日本の“古きよき時代”が詰まっている?「クリスマス=ケーキ」はなぜ定番化したのか
会社勤めをする男性が急増した時期でもある。成長著しい企業は、男性社員の定着を促すために福利厚生にも力を入れた。その一環として、クリスマスケーキを配布した企業もある。その習慣は定着し、今でも従業員にクリスマスケーキを配る会社は多いようだ。 ■クリスマスを口実に集まって祝う 欧米におけるクリスマスは、古くからある冬至の祭りと結びついたと言われる。今年の冬至は12月21日。日ごとに寒さが増し、日の短さがピークに達し、人恋しくなりがちな時期。赤や緑の華やかな飾りつけは、寂しくなりがちな人々の心を温めるアイテムとしても、受け入れられたのではないか。祝うことを口実に集まり、ごちそうを食べ、ふだん買わないホールケーキで締めくくる。そして正月を迎える。
繁華街では、12月25日の夜にクリスマスの飾りつけを取り払い、正月用に切り替える。翌日からは、雅楽が流され、おせち食材の大販売会が始まる。その切り替え自体が、すでに歳末の風景として定着している。 前述の通り、日本ではクリスマスはイチゴのショートケーキが定番となっているが、そのイチゴが今年は夏の猛暑の影響で品薄となっているほか、その他のコストも増大している。 帝国データバンクの調査によると、クリスマスケーキの平均価格は近年、原材料コストの上昇を受けて上がり続けている。
主な原材料価格は今年11月末時点で前年の同月と比べ、牛乳が横ばいである以外は、チョコレートが20%も、鶏卵・イチゴ・砂糖がそれぞれ10%、バターが8%、小麦粉が2%上昇。さらに包装資材、燃料費、人件費も上がった結果、クリスマスケーキの平均価格は2021年に3862円だったのに対し、今年は4561円にも上っている。 ■クリスマスケーキの人気は根強い しかし、価格上昇によってケーキ離れが起きたとも言えないようだ。市場規模総合研究所が2023年に行ったクリスマスケーキ市場規模推計によれば、2000年以降、クリスマスケーキの市場規模は数十億円単位でアップダウンをくり返している。