「全日本フィギュアスケート選手権」の見どころ。アンバサダーの宇野昌磨さんと実況アナが紹介
●昨年のような“神大会”を今年も期待!
その他の注目ポイントとしては、西日本チャンピオンの織田信成さん。ショートは『マツケンサンバ2』で、しかも4回転+3回転を跳びますからね。織田さんがあれだけやる姿は、後輩たちに強いメッセージも与えているはず。4+3を決めて、これが個性だ! フィギュアスケートの楽しませ方だ! と、アイデンティティの最たるものを表現してくれることを期待しています。 また東日本チャンピオンの大島光翔選手は大学ラストイヤー。フリーはお父様の大島淳コーチがプロスケーターとして最後に演じた(『デスペラード』)を滑るので、特別な思いがあると思います。ぜひフリーも(後半グループに残って)実況させてほしいですね。 全日本選手権は選手たちにとって大きな意味を持つ大会。特有の緊張感が嫌いだという人もいますが、去年の全日本でいいイメージをもてて自信になった選手も多いと思うので、あのような神大会を今年も楽しみにしたいと思います。
今湊敬樹アナウンサーが語る女子シングルの見どころ
4連覇を狙う坂本花織選手ですが、NHK杯の現場で圧巻の演技を見て、これはほかの選手はかなわないなと思いました。今シーズンはフリーの構成を変えてルッツを2本入れて、よりすごみを増した絶対女王の印象です。 フリーの『シカゴ』は中身が濃くて、ずっと楽しませてくれる演技。NHK杯は最後のポーズで少しよろけてしまいましたが、その後の中野園子コーチの辛口コメントまでがワンセット。いいコンビで、キス&クライのやりとりも楽しみです。 島田麻央選手は高難度をやって失敗してもなお余裕の勝利になるというすごさ。トリプルアクセルと4回転トウループを2本決める難しさを改めて教えてくれますが、全日本ではやってくれるのではと期待してしまいます。個人的に好きなのは高速スピン。これだけでご飯が食べられるというか、ジャンプじゃないのに観客から歓声が上がるのは島田選手だけではないでしょうか。 昨年2位の千葉百音選手は、四大陸選手権での優勝と、世界選手権出場がやはり自信になっている印象です。GPシリーズに臨むにあたって、去年の悔しい思いは今年はしない、同じ過ちを繰り返さない、と話していて、それを見事に有言実行している。GPファイナルでも銀メダルを獲得し、オリンピック候補2番手だなと思わせてくれる雰囲気を感じます。 吉田陽菜選手はトリプルアクセルという武器があるので、大技で一気に突き放せて逆転の可能性も秘めています。長い間トリプルアクセルに取り組んでいるので、この2シーズンで集大成を見せてほしいですね。 GPファイナル出場をいち早く決めた樋口新葉選手。オリンピアンですが、休養を挟みリフレッシュしたのが強みになっている気がします。自分の人間性を表現したいという気持ちを感じるので、どんな演技を見せてくれるか楽しみです。 松生理乃選手は滑らかなスケーティングで、音楽と自分のスケートを合わせる技術がとくに上手いなあと思います。不調の時期に、ファンからのメッセージや手紙が支えてくれたと以前話していて、そうした心の優しさを力に変えて滑る姿に、応援を送りたくなる選手です。 あと西日本1位の三宅咲綺選手は、初めてショートで後半グループに入れて喜んでいました。三原舞依選手と坂本選手と籠谷歩未選手、神戸チームの結束力はいいなあと感じます。三宅選手は中野先生から「咲綺もオリンピック行くで」と言われた言葉がモチベーションになったそうです。 ほかにもルッツ+ループを跳ぶ青木祐奈選手は現役を1年延長してよかったなと祝福したくなる活躍ぶりですし、渡辺倫果選手はトリプルアクセルに再度挑戦しています。またジュニア勢で注目はジュニアGPファイナル2位の和田薫子選手。山田満知子門下から鍛え上げられた選手がまた出てきたなと。彼女の逆回転のスピンがレベルを取る要素として大事というのもお伝えしたいです。昨年の全日本4位の上園恋奈選手や、ジュニアGPファイナル3位の中井亜美選手もともに成長過程でジャンプに苦しんでいますが、がんばって欲しいですね。