「全日本フィギュアスケート選手権」の見どころ。アンバサダーの宇野昌磨さんと実況アナが紹介
中村光宏アナウンサーが語る男子シングルの見どころ
男子は今回、新しいチャンピオンがだれになるかに注目です。現王者の宇野さんがプレ五輪シーズンに競技を離れて、やはり選手たちも燃えるものがあると思います。チャンピオンシップに向けての表彰台争いという中で、この一発勝負の全日本でどれだけ力を出しきれるか、レベルの高い勝負になると思います。 個別の選手でいうと、まず鍵山選手は4回転フリップなどのジャンプ構成はもちろん、フラメンコという新しい挑戦をしながら、カロリーナ・コストナーコーチとつくり上げる表現、滑りでどういう作品を作っていくのか楽しみです。優勝も狙って納得のいく演技をしたいと本人も以前話していたので注目です。 佐藤駿選手は今季、本人がいちばん進化を実感しているのではないかなと思います。これまではどうしてもジャンプの天才といった表現をしてしまいがちでしたが、それでは収まりきれない成長を見せていて、私もどう表現したらいいか悩ましいです。ギヨーム・シゼロンさんの振つけ、完成度の高い4回転ルッツを含めて滑り出しから楽しみですね。 三浦選手は体調面が心配されますが、難しい状況にあってもそれを気持ちとして演技に乗せられる選手だと思うので、どう本番にぶつけてくるか。NHK杯のお手洗いで三浦選手からループのコツを聞かれたという本田武史さんが解説をされるので、もし今大会で挑戦するならば、その解説も楽しみにしたいところです。 NHK杯といえば、壷井達也選手は4回転サルコウの安定感がすごかったです。去年の全日本は最終グループが神大会と言われていますが、じつは第3グループの壷井選手や吉岡希選手もすばらしかった。壷井選手の場合は今回もサルコウがポイントになってきますが、フリーで2本決まると引き込まれますね。 昨年3位だった山本草太選手は、全日本に向けての気持ちのつくり方や、練習の積み方といった部分ですごく手ごたえを感じたはず。ターニングポイントとなる大会だったのではないかと思います。昨年6位の友野選手も最終グループの第1滑走で神大会への流れをつくってくれました。友野選手も今年振付師を変えましたが、挑戦して必ず爪痕を残している選手です。年齢的にベテランの域にいると思いますが、多かった5位、6位の壁を打ち破ってほしいです。