ドジャースに同行する女性リポーターが語る"人間としての大谷翔平"
その一方で、おちゃめなところもあります。性格は控えめですが、徐々に打ち解けてくると、素顔も見せてくれました。ジョークも言うし、楽しそうによく笑います。 そんな翔平のことを知れたことは、私にとって喜びでした。どんな人とも人間関係を構築するまでには時間がかかるものですが、彼はしばらくドジャーブルーのユニフォームを着続けるでしょうから、より素顔に迫れることを楽しみにしています。 人間としての翔平をひと言で表現するなら......どんな言葉がふさわしいかを見つけるのは難しいですね。「Respectful(敬意のある)」も当てはまりますが、「Serious(真面目)」「Driven(意欲的)」といった言葉も適切に思えますし......。 さらに「Kind(親切)」や「Playful(おちゃめ)」な部分もあります。とてもじゃないけれど、翔平はひと言では表現しきれません(笑)。 翔平に関するおちゃめなエピソードとして、私が気に入っているのは、まだシーズン前半の頃の話です。〝シンコ・デ・マヨ(5月第1週、メキシコ系アメリカ人の祝祭)〟のときだったと思いますが、私が選手たちにお気に入りの〝マルガリータ(カクテル)〟を聞いていたんです。 そこで彼に「翔平、あなたの好きなマルガリータは?」と聞くと、「ピザ!」と答えたんですよ。「そうじゃなくて、飲み物の話ですよ!」と言うと、「わかっているけど、僕はマルゲリータピザが好きなので」と(笑)。あれはいい答えだったし、私は彼にはユーモアのセンスもあることにも気づかされたんです。 今シーズンは本当にいろいろなことがありました。開幕直後の3月には当時の通訳の事件に巻き込まれたわけですが、あくまで個人的には、その前後も翔平には特に変化があったようには感じられませんでした。 何があってもスーパースターらしく対処していたし、いつでも〝同じ翔平〟でしたね。毎日、フィールド内外で最高レベルの仕事をし続けた、という記憶しかありません。 ドジャース1年目で、打者としての翔平はまた新たなレベルに進んだと思います。来年は〝二刀流〟に戻り、投手としてもさらにレベルを上げてくれることを楽しみにしています。これまでもいい投手でしたが、今シーズンにあれだけのことをやり遂げた後で、次に何を目撃できるのか。そんな期待感があります。 今シーズンの韓国での開幕戦で、翔平の注目度の高さとファンの熱気などを体感することもできました。取材をする日本メディアともいい関係を築けて良かったですし。来シーズンの開幕戦は日本で行なわれます。来春に日本に行けることを、私も今から楽しみにしています。 取材・文/杉浦大介 写真/アフロ