与論城跡を巡り学ぶ 琉球列島グスクでも有数規模 ジオラマ模型で全体像確認 鹿児島県与論町
【鹿児島県・沖永良部】国の史跡指定を目指している「与論城跡」を巡り学ぶ会(与論町教育委員会主催)が14、15の両日、与論町であった。参加者らは、今回初めて町に展示されたジオラマ模型を使って城跡の構造や特徴を学んだ後、現地を歩き規模の大きさを確認した。 与論城跡については、2019~23年度に発掘調査を実施。その結果報告書が、今年3月に町教委から発行された。 イベントは、文化庁の2024年度国宝重要文化財等保存・活用事業費補助金を活用。講師は、ジオラマ模型を所蔵する沖縄県立博物館・美術館の主任学芸員、山本正昭さんと町教委の学芸員、南勇輔さんが務めた。 初日、同町サザンクロスセンターに展示されたジオラマ模型の説明会には、島内外から約30人が参加した。 模型は、19年に製作。寸法は縦80㌢、横70㌢、高さ15㌢で、実際の大きさの700分の1。 山本さんは、城跡の規模について「東西方向に約150㍍、南北に約200㍍で面積が約3万平方㍍というとてつもない規模。琉球列島の中でも有数の規模を誇る」と述べ、特徴として「崖下まで城の領域として取り込んでいる。自然地形を有効活用しながら縄張りが作られている」と説明。築城年代については「発掘調査によって1300年代の半ばに作られたのではないかということが分かった」とし、築城の理由として琉球で覇権を争っていた北山、中山、南山の関係から「北山が奄美方向との交易をする上で重要な場所だった」と語った。
2日目の現地散策には約40人が参加。山本さんと南さんが案内役を務めた。城の主体部となる現在の琴平神社から崖を下り、崖下部分に作られた石垣や城を守るための四つの関門などを見て回った。 参加した池田拓也さん(35)は「普段から子どもと一緒に城跡の周辺を散歩コースに使っている。歩いていると、細くて曲がりくねったところが多いと感じていたが、城を守るための工夫だとわかって納得した」と話した。 講師を務めた山本さんは「琉球列島の歴史全体で考えてみても大切な文化財。細部にまでこだわってジオラマを製作したのも、町の人たちに城跡を守っていってほしいという思いを込めている。模型を思い浮かべながら、現地を歩くのは非常に楽しい」と語った。 ジオラマ模型は、来年3月まで同町サザンクロスセンターに展示される。