台湾語研究の第一人者 王育徳氏に関する展示 台湾・台南で始まる
(台北中央社)台湾語学者で劇作家や台湾独立運動家としても活躍した王育徳氏に関する文物を集めた特別展が27日、南部・台南市の台湾文学館で始まった。戦後に執筆した自伝的小説の日本語原稿や晩年に尽力した台湾人日本兵の補償問題に関する原稿、普段から使用していた眼鏡や万年筆などが展示されている。 王氏は日本統治時代の1924(大正13)年に台南で生まれた。旧東京帝国大学に進学後、初めて台湾語研究で博士号を取得し、日本の大学で初となる台湾語講座を開いた。国民党政権が市民を弾圧した47年の「2・28事件」で兄を亡くし、49年に日本に脱出すると、名前が国民党のブラックリストに記載された。85年に死去するまで台湾への帰国はかなわなかったが、台湾の文学や言語、歴史の研究に尽力し、民主化や人権運動の推進に関心を持ち続けた。 台湾文学館は、特別展では王氏が学んだ台北高校(現・台湾師範大学)や海外に逃亡して国民党のブラックリストに記載された作家の紹介もしているとし、自由な校風で多くの優秀な人材を輩出した高校と、迫害を受けて海外に追いやられながらもふるさとを思い続けた作家への理解を深めてもらいたいとアピールしている。 特別展は来年4月6日まで。 (邱祖胤/編集:齊藤啓介)