遅れてきた大器サトノレーヴが重賞初V、秋はスプリンターズSを大目標に/函館SS
<函館スプリントS>◇9日=函館◇G3◇芝1200メートル◇3歳上◇出走16頭◇サマースプリントシリーズ第1戦 遅れてきた大器だ。5歳にしてわずかキャリア7戦のサトノレーヴ(牡、堀)が浜中俊騎手(35)に導かれ、降雨の函館で重賞初勝利を飾った。勝ち時計は1分8秒4。 前の2頭の間隙(かんげき)をつき、センスを示した。今後の大目標はスプリンターズS(G1、芝1200メートル、9月29日=中山)。秋に向けて視界を広げた。 ◇ ◇ ◇ 降雨の開幕函館をサトノレーヴが彩った。青々とした洋芝と似た勝負服が、好位から持ったままの手応えで4角を回ってくる。スタートから内の経済コースを通り、直線は逃げたカイザーメランジェと2番手アサカラキングの間を突いた。 両サイドと馬体を併せたのはわずか5秒。一気に抜け出して、重賞初勝利をその手につかんだ。同馬の3歳時、当舞台で2戦をともにした浜中騎手は「強い馬だと思っていましたので、しっかり勝つことができてうれしく思います。少しでもスペースができれば、反応できる手応えがありました。力強い走りだと思います」と喜びを表した。 午後には雨が降り始めた函館競馬場。メインの発走時間には雨脚も強くなっていた。馬場発表は良のまま変更はなかったが、多少の馬場悪化が懸念された。しかし、鞍上に不安はなかった。「枠順がいい並びでしたし、今日のような競馬を想定していました。馬場状態が非常にいいので、直前の雨の影響はなかった。競馬のセンスがいい馬で、乗っていて安心感があるタイプ。それが一番の武器」と能力を信じていた。 天気とは異なり、視界は良好だ。晴れて重賞ウイナーの仲間入り。秋には短距離界の頂点、スプリンターズSがある。レースを見守った里見治オーナーは「強かった。調教師が言うには『まだトモが完全ではない』と。それでも勝ってくれた。これで賞金も加算したし、秋はG1を狙っていきたい」と展望を語る。 半兄ハクサンムーンは短距離重賞3勝を挙げたが、スプリンターズS(13年)では2着と涙をのんだ。弟は5歳にしてキャリア8戦。まだまだ成長の余地を残している。開幕の函館で、遅れてきた大器が歩み始めた。【舟元祐二】 ◆サトノレーヴ ▽父 ロードカナロア▽母 チリエージェ(サクラバクシンオー)▽牡5▽馬主 里見治▽調教師 堀宣行(美浦)▽生産者 白井牧場(北海道日高町)▽戦績 8戦6勝▽総獲得賞金 1億2690万8000円▽馬名の由来 冠名+夢(仏)