【老後の年金】年金支給額は最高でいくら?保険料による老後の年金額への影響を解説
老齢厚生年金の満額ってあるの?
老齢厚生年金にも、受給上限額が存在します。これは、保険料算定時に用いる標準報酬月額に上限が定められているためです。 厚生年金の金額は、以下の式で計算します。 ・厚生年金額=報酬比例部分+経過的加算+加給年金額 このうち、年金額の大部分を占める報酬比例部分の計算で、標準報酬月額を用います。 〈2003年3月まで〉 ・報酬比例部分=平均標準報酬月額×7.125/1000×2003年3月までの加入期間数 〈2003年4月まで〉 ・報酬比例部分=平均標準報酬額×5.481/1000×2003年4月以降の加入期間数 平均標準報酬額とは、標準報酬月額と賞与額の総額を、加入期間で割った数字です。厚生年金保険料の上限は5万9475円(事業主と折半時)で、この保険料を納めることになるのは、標準報酬月額が65万円以上の人です。つまり、給料が月額100万円だったとしても、標準報酬月額は65万円とみなされ、厚生年金保険料は5万9475円で変わりません。 また、標準賞与額の上限は150万円、支給回数3回までと定められています。賞与が200万円だとしても、標準賞与額は150万円として年金計算に反映されるのです。 加えて、厚生年金保険は70歳まで加入できます。労働自体は中学校卒業後の16歳からできるため、最長で16~70歳までの54年間、648ヶ月加入できます。 よって、老齢厚生年金の満額は標準報酬月額が65万円、標準賞与額が150万円かつ3回支給されており、648ヶ月厚生年金保険に加入した場合の金額といえます。 では、厚生年金含む公的年金の最高受給額について、次章で確かめてみましょう。
公的年金受給額の最高額はいくらか
公的年金受給額の最高額として、厚生年金の報酬比例部分と国民年金額の合算額を紹介します。前述のとおり、2024年度の国民年金の満額は年額81万6000円、月額6万8000円です。では、厚生年金の最高受給額を計算してみましょう。 厚生年金を満額受給できる要件は、以下のすべてを満たした場合でした。 ・標準報酬月額が65万円 ・標準賞与額が150万円かつ3回支給 ・16~70歳までの648ヶ月厚生年金保険に加入 標準報酬月額が65万円になるのは、月給63万5000円からです。これをもとに年収を算出してみると、年収は1212万円となり、平均標準報酬額は102万5000円となります。よって、2003年4月以降に厚生年金保険に加入したと仮定すると、以下のとおり年金額が計算できます。 ・102万5000円×5.481/1000×648=364万480円364万480円÷12=30万3373円 よって、老齢厚生年金の満額は月あたり約30万3000円です。国民年金と合算すると、月あたり約37万円が最高額となります。 上記の金額には、上乗せされる年金がいくつかあります。 ・経過的加算:男性は1961年4月1日、女性は1966年4月1日以前に生まれた人に対して支給される特別支給の老齢厚生年金の定額部分から老齢基礎年金の一定額を差し引いたもの。 ・加給年金:自身が65歳になったときに生計を共にしている配偶者や子どもがいる場合に支給される年金 ・企業年金:公的年金の3階部分にあたる、企業と自身で折半して保険料を納めることで受け取れる年金 上乗せされる年金があれば、月約40万円の年金を受け取ることも可能です。 ただし、実際には16~70歳まで働くことや入社後毎年63万円以上の給与を受け取ることは難しいです。理論上は可能でも、現実的には月約37万円の年金を受け取れる可能性は低いといえるでしょう。