CSは本当に必要なのか 「日本シリーズには優勝したチームが出場すべき」の意見に野球記者として思うこと
今年もプロ野球シーズンが幕を閉じた。セ・リーグは巨人、パ・リーグはソフトバンクが優勝。日本シリーズはリーグ3位のDeNAが「成り上がり」で98年以来、26年ぶりの日本一に輝いた。 【写真あり】大勢のファンの声援を浴びてパレードするDeNAナイン 非常に盛り上がった1年だったと思うが、一方で「日本シリーズには優勝したチームが出場すべき」との意見もある。特に優勝チームのファンはもやもやした気持ちが残るだろう。「CS(クライマックスシリーズ)は本当に必要なのか」――。自分は長くプロ野球取材の現場に立ち会ってきた。肌感覚として、球界のさらなる発展を考えてもCS、ポストシーズンの熱戦は必要不可欠だと思う。 CSが行われることの最大の利点。それはレギュラーシーズンで、いわゆる「消化試合」が劇的に減ることだ。優勝が決まった後はAクラス争いに注目が移る。3位と4位の直接対決でなくても、2位VS5位、3位VS6位でも順位争いに影響する。同時に観客動員も期待できる。かつて、優勝が決まった後の興味はタイトル争いが主だった。そういう試合を実際に取材しただけに、レギュラーシーズンが最後まで盛り上がるのはうれしい限り。さらに1、2位でCSに進出すれば本拠地で試合を開催できる。球団経営にとってもこれは大きい。 今年、大谷翔平、山本由伸を擁するドジャースはプレーオフを勝ち抜いて世界一に輝いた。負けたら即、終了。その緊張感、盛り上がりはテレビの画面を通しても伝わってきた。大リーグは両リーグ30球団のうち12チームがポストシーズンに進出。約1カ月、世界一の座を目指して戦う。NBA(米プロバスケットボールリーグ)では30チームのうち半数以上の16チームがプレーオフを戦い、NBAファイナルまで2カ月近い長丁場だ。 確かにMLBやNBAと比べて日本のプロ野球は12球団しかなく、少ないチームでポストシーズンを戦う是非は今後も問われるだろう。ただ、CSで実際にプレーする選手の緊張感は、見ている側にも確実に伝わってくる。そんな10月の熱戦が、日本でもより定着していくことを願いたい。(記者コラム・鈴木 勝巳)