レアルの遠征から外れた久保建英が今季トップチームでプレーする可能性は消滅したのか?
レアル・マドリード・カスティージャの監督には今シーズンから、トップチームおよびスペイン代表で一時代を築いたレジェンド、ラウル・ゴンザレス氏(42)が就任。YouTubeをはじめとする動画投稿サイトには、同じく遠征メンバーから外れた新加入組、ブラジルの新星ロドリゴ・ゴエス(18)とともに、さっそくゴンザレス新監督から指示を受ける久保の姿がアップされている。 また、同じくマドリードに拠点を置くスポーツ紙『マルカ』は現地時間6日に、レアル・マドリードのウグルアイ代表MFフェデリコ・バルベルデ(21)が、今年4月に当局へ申請したスペイン国籍取得が受理されたと報じた。昨シーズンはEU圏外選手枠で登録されたバルベルデがスペイン人と同じ扱いとなることで、レアル・マドリードのEU圏外選手枠がひとつ空くことになる。 バルベルデを除けば、レアル・マドリードのEU圏外選手は久保の他にミリトン、ロドリゴ、そして加入して2年目のヴィニシウス・ジュニオール(19)のブラジル人トリオとなる。ラ・リーガ1部では1チームにつき、EU圏外選手を3人まで登録できる。 そして、オーストリア遠征に招集されているミリトン、ヴィニシウスに続く最後のひと枠として、レアル・マドリード側はロドリゴを充てる方針を固めたとスペインの各紙が報じている。 もっとも、これで久保がトップチームでプレーする可能性が消滅したかと言えば、もちろん答えはノーとなる。
今シーズンの久保はトップチームでもレアル・マドリード・カスティージャでもなく、ユース年代で一番上となるフベニールA(19歳以下)のカテゴリーで登録されている。ここで重要なのは、ユース所属の選手は国籍を問われず、EU圏外選手枠の対象外となることだ。また、カップ戦のコパ・デル・レイ(スペイン国王杯)はEU圏外選手枠の適用外となるため、久保にも出場のチャンスがある。 振り返ってみればフラメンゴから加入した昨シーズンのヴィニシウスも、フベニールAのカテゴリーに登録されて開幕を迎えた。そして、レアル・マドリード・カスティージャで5試合4ゴールと結果を残したことが評価され、不振が続いていた昨年9月にトップチームでデビュー。最終的に公式戦31試合に出場して4ゴールをあげている。 つまり、フベニールAで登録されたことはイコール、不測の事態が発生したときに有望な選手をEU圏外選手枠に関係なくラ・リーガ1部で起用するための「裏技」あるいは「抜け道」となる。それだけ久保はキャンプから北米およびドイツ遠征で、現役時代はフランス代表のレジェンドとして活躍した、トップチームを率いるジネディーヌ・ジダン監督(47)から評価されたことになる。 レアル・マドリード・カスティージャに本格的に合流した久保は、日本時間8日未明に行われた、ラ・リーガ2部のアルコルコンとのプレシーズンマッチで、背番号「7」を託されてさっそく先発。シーズン開幕後はセグンダ・ディビシオンBの舞台で、そして定期的に参加する青写真が描かれているトップチームの練習で、アピールを続けていくことになる。 (文責・藤江直人/スポーツライター)