外国人観光客にも人気の「焼き芋」 技術改良でスイーツ化進む
長野県内でも“焼き芋競争”が激化
鈴木さんはマンションや空き家などの清掃・整理の事業もしています。かねて面白い店を開きたいと考えていたところ、テレビで焼き芋の人気を知り「これは商品として見込みがある」と焼き芋店にチャレンジ。現在は妻の美恵さんとともに両方の職場を行ったり来たりしながらの経営です。当初は遠赤外線を使う焼き芋製造機の温度管理や焼き時間などのノウハウを教わる人もいなかったため、自力で身に着ける苦労もありました。 順調な滑り出しは焼き芋の魅力だけでなく「対面販売の仕事はお客さんと私たちのコミュニケーションがそこに生まれる。それがこの商売の大切なところなのかもしれないと考えるようになりました」と鈴木さんは話しています。ただ、最近の焼き芋人気を背景に長野県内ではライバルとなる焼き芋店が同市内に進出するなど競争も激しくなりそうです。「厨房を広げたり、関連の商品をそろえるなど工夫をしていきたい」と鈴木さん。
農水省によると、サツマイモは1600年ごろ中国から琉球(沖縄)、薩摩(鹿児島)へと伝わり、8代将軍吉宗の時代に蘭学者・青木昆陽によって全国に広がりました。当時の江戸に近い川越も産地になりました。サツマイモの生産に適した温度は20~30度で、日本では北関東より南が適地。鹿児島県では2月に植え付け、5~6月の収穫。茨城、千葉両県では秋に収穫して次の年まで貯蔵しながら少しずつ出荷します。生産量は鹿児島県がトップで2007年は36万9600トンを占め、茨城県の約17万トン、千葉県の約13万トンと続きます。世界では中国が最大の生産地で、ウガンダ、ナイジェリア、インドネシアなどが続きます。 年々栽培が減っているものの、サツマイモが持つ豊富な食物繊維やビタミンCなどが見直され、研究・振興団体などが国際的なシンポジウムを開いたり、サツマイモの栄養価をあらためてPRする活動に取り組んでいます。
■高越良一(たかごしりょういち)信濃毎日新聞記者、長野市民新聞編集者を経てライターに。記者歴は報道部、支社局、朝夕刊デスクなど。この間2年地元テレビでニュース解説