市民の「喫煙所の増設」求める声は無視? 横浜市の全公園"完全禁煙化"はアリなのか
来年4月から横浜市が管理する約2700ヵ所の公園すべてが禁煙化される。だが、ポイ捨て増加など懸念される問題は多い。そもそも「喫煙所を増やす」という策が軽視されている感もある。市民の声を拾った! 【写真】公園の禁煙化を伝えるポスター * * * ■パブコメの中には禁煙化に慎重な声も 元町・中華街や山下公園、赤レンガ倉庫など、国内だけでなく、海外からの訪日客にも人気の観光スポットを多く抱える神奈川県横浜市。 そんな同市では、来年4月1日から市が管理する約2700ヵ所の公園すべてが「禁煙」となる。市によると、「子育てしやすい街づくり」を推進するのが目的で、違反者には5万円以下の過料が科せられるという。 昨今の健康増進政策の後押しもあり、横浜市では以前から、公園の禁煙化について市民を対象とした意見聴取を行なってきた。今年4月から5月にかけてもパブリックコメント(以下、パブコメ)を募集。645件の意見が寄せられ、そのうちの約6割が「全面禁煙を望む」と回答した。 この結果を受けて横浜市は、「(市の公園を禁煙にすることについて)全面禁煙を望むご意見が多く寄せられました。今後、いただいたご意見等を踏まえ、引き続き公園における受動喫煙対策を進めていきます」とコメント。 そして、実際に市の公園を全面禁煙とする「改正公園条例案」を市議会本会議に提出し、これが可決されたことで、来年4月から公園内の禁止行為に「喫煙」が追加されることになった。 つまり、「市民の意向を反映した結果の決定」という流れだが、パブコメを具体的に見ていくと、全面禁煙化に対して慎重な意見も少なくなかったことがわかる。 例えば、パブコメの内訳では約3割の市民が「分煙環境の整備を望む」や「禁煙化に否定的」とも回答しており、必ずしも全面禁煙を強く望む意見が大多数ではないことが見て取れる。パブコメの中の慎重派の意見はこうだ。 「(禁煙化しても)公園近くのポイ捨てが増えるだけ」「公園のような広いところで受動喫煙の可能性はよほど近くにいない限り低い」「公園の適切な位置に喫煙所を設けることを望む」「市民が平等に使用する公園として、禁止の前にまずは『共存』できる方法を提案してはどうなのか」「喫煙者も市民だ」 基本的には「禁煙化には賛成」と答えた市民からも、ポイ捨て増加の懸念や喫煙者の権利を擁護する観点から、まず「喫煙所の増設」を求める声が多く上がっていた。 ■喫煙所不足は今も解決せず