AirPods 4にみる「アップルがオーディオ業界を変え続けている」理由
AIで聴覚を適応的に操るAirPods
■AIで聴覚を適応的に操るAirPods 言及が少々後になったが、AirPods 4の改良は実に多岐に渡っている。ぱっと見たところは変更がないように感じられるが、充電ケースは極めて小さく、本体の形状も大幅に見直され装着感は耳に引っ掛けるやや頼りないものだった旧モデルに対して、しっかりと耳の中に入って安定する感覚だ。 数千人分の耳型データを分析し、5000万以上の個別ポイントを考慮して設計されたという。筆者の場合、旧型のAirPodsではランニングなどの運動をすると外れてしまっていたが、今回のモデルに関してはランニングをしても、あるいは簡単なウェイトトレーニングのためにベンチに寝そべったとしても、外れることはなかった。 AirPods Pro3に相当するチップとドライバーユニットはこれを可能にしている。内部の音響設計も最新のものだ。その結果、オープンイヤー型としては驚くほど中低域が豊かで、スピード感もあり、広域にかけてのバランスが優れている。細かな情報量などについてうるさいことを言わなければ、極めて高音質なイヤホンと言えるだろう。 実際のところ、この製品を使用し始めてから、すっかりAirPods Pro 2を使わなくなってしまった。もちろん、利用する場面によっても異なるだろうが、筆者の感覚においては、街中で使う場合でも、日常生活の中で聴覚から何らかの通知を受け取りたい場合でも、AirPods 4の方が快適に感じる。 イヤホンを取り外す必要に駆られることがほとんどないためだ。 これはAirPods 4とAirPods Pro 2に共通する機能だが、ANCには「適応型」という動作モードがある。 マイク、加速度センサーなどの各種センサーが検出する情報を機械学習させることで、ユーザーの置かれている状況に合わせ、適応的にANCの効き具合を調整する。他メーカーにも同様の機能が搭載されていることもあるが、環境音やコミュニケーションに必要な聴覚情報とユーザー自身の心地よさと、音楽などのコンテンツを楽しむための能力、それらのバランスが絶妙なのだ。 AI技術の応用という面では、iPhoneから通知される情報に対して、顔を縦横に振るジェスチャーで応答する機能にも機械学習は使われている。電話がかかってきた際に軽く頭を振るだけで応答可能となった。この機能は使い始めると手放せない。 環境音に応じて、人が感じる音量感を自動的に維持するよう音量を滑らかに(おそらく気づかないうちに)調整する機能や、音声コマンドの認識精度が向上しており、会話感知機能も搭載され、ユーザーが会話を始めると自動的に音量を下げ、会話が終わると元の音量に戻る機能など、AI的な技術応用は数多い。 今後、さらにAirPodsとiPhoneの連携が密になるにつれ、これらの利便性は高まっていくだろう。