ヒマつぶしでも、腰休めでもない!不整脈の疑いを指摘された大藪春彦賞作家が悟った、老人が病院に通う「本当の理由」【「鶯谷」第二十三話#1】
---------- 作家の赤松利市氏は、68歳。高血圧にも不眠症にも軽度の脳梗塞にも悩んでいる。身体にガタがきているため、仕方なしに病院にいくのだが……。 ---------- 【写真】大胆な水着姿に全米騒然…トランプ前大統領の「娘の美貌」がヤバすぎる!
医師の言葉が刺さらない
月に一度通う循環器クリニックでいわれた。 「不整脈の疑いがありますね」 続けていわれた。 「本日のところは血液検査だけにしておきましょう。明日、詳しく調べるということにして」 「詳しく、ですか……」 「ええ、レントゲン検査とか心電図とか、エコーもやったほうがいいですね」 医師の言葉が刺さらなかった。 このクリニックに通い続けている理由はひとつだけだ。 高血圧の薬とか、血栓予防薬とか、一か月分処方してくれるのだが、それだけではない。 睡眠薬、導入剤、安定剤なども一か月分処方してくれるのだ。 メンタルクリニックではそうはいかない。 二週間分しか処方されない。 それはおそらくOD(オーバードーズ)を警戒してのことであろう。 オーバードーズとは薬の過剰摂取のことだ。 メンタルを病んでいる患者は往々にしてそれをする。 気持ちは分かる。 一錠よりも二錠、二錠よりも三錠、四錠、五錠、六錠と摂取量が増加するのだ。 段階的にではなく、衝動的に手持ちの薬をいっきに服用する者もいる。 手持ちの薬がない場合は、頭痛薬をオーバードーズする者さえいる。 そればかりか、メンタルとは無関係に思える胃腸薬までオーバードーズする者もいるのだ。 少しでも楽になりたいという気持ちがそうさせるのだろう。
医師は信用できない
オーバードーズをやらないまでも、メンタルの薬を多く保有しているだけで、安心感を得る者もいる。 幾つかのクリニックに通院し、薬を集めるのだ。 私もかつてはそうしていた。 そんな時期もあった。 しかし幸い(? )にして、今の私にはそんな金銭的なゆとりはない。 そのクリニックに通う理由は他にもある。 以前住んでいた花川戸の1Kのアパートに近いというたわいもない理由だ。 薬さえもらえればよいという理由で通っていた。 医師は信用していなかった。 高血圧の薬を処方してもらうのであるが、処方箋を出す前には血圧測定をする。 だいたいが120~90の値だと告げられる。 浅草の台東区の出張所には個人で測れる血圧計がある。 誰でも出入り自由で、私は時々その血圧計を利用していた。 測ってみると170~110という結果が表示される。 ラクナ梗塞(毛細血管レベルの梗塞)で浅草の総合病院を訪れたことがあった。 「受診の前にそちらの血圧計で測っておいてくださいね」 受付でいわれた。 「測定結果がプリントアウトされますから、それを医師に見せてください」 いわれた通りにした。
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