忙しい職場ほど「考えない人」が増える驚きの理由
しかし、「思考」はパワーがいる面倒な営みです。答えが出るのかどうかもわからないことに時間を使うなら、「とりあえずやっておけば間違うことはない」目の前の仕事を忙しそうにこなしているほうが(ある意味で)ラクなのです。 本人は決して口にはしませんが、実は忙しく作業をしているスタイルをあえて選んでいるビジネスパーソンもたくさんいることを私はこの仕事を通じて知りました。 このような人材が「自分で考える社員」になるためには、組織側が強制的に時間的余裕を提供し、作業ではなく思考の結果で人材を評価すること以外に方法はありません。
■「ラク」を選ぶ組織から「考える社員」は生まれない 多くの企業が「自分で考えられない社員が多い」という問題を抱えていますが、その原因は「個々の社員のスキル」であると認識しています。しかし、企業自体が、従業員たちに向けて次のようなメッセージを暗に発している可能性はないでしょうか。 「自分で考える必要などないから、とにかく作業だけ忙しそうにやっていてください」 これはある意味では、従業員たちにラクなほうを選択させているということ。つまり、その企業全体として、ラクなほうを選択して経営しているということです。
従業員が思考停止する環境を自ら作っておいて、その従業員に思考力強化の研修を、成果が出ないと悩みながら続けているのはやはり矛盾していると思います。そんな企業が少しでも減ることを願い、私はこれからも正しいアプローチを提案し続けていきます。 「考える」を必要とするなら、考える時間と精神的余裕を用意してください。 それをしないなら、「考える」を求めることは諦めてください。 今回のテーマは、すべてのビジネスパーソンにこの二者択一を求める話です。それぞれが自分の意思で、納得いく選択をしてほしいと思っています。
深沢 真太郎 :BMコンサルティング代表取締役、ビジネス数学教育家