第93回選抜高校野球 甲子園の夢、審判で 県高野連・川島秀紀さん(42) /栃木
<センバツ高校野球> ◇大舞台経験しジャッジに自信 19日に開幕する第93回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)で、県高野連の審判員を23年間務めている川島建具店社長、川島秀紀さん(42)=鹿沼市=が「派遣審判委員」として「甲子園初出場」を果たす。川島さんは「今までお世話になった方に感謝し、高校生に負けないように一生懸命ジャッジしたい」と意気込んでいる。【玉井滉大】 「派遣審判委員」は審判の技術向上を目的に、各都道府県の高野連が持ち回りで春夏の甲子園へ審判委員を派遣する制度。県高野連は川島さんの推薦理由について、「常に真摯(しんし)な態度で各大会や練習試合に取り組み、審判技術の向上に努めている」などとしている。県からのセンバツへの審判員の派遣は8年ぶりで、夏の甲子園を含めると5年ぶり。 川島さんは小学3年で野球を始め、中学校までは軟式野球をプレー。高校では「自分の力を試したい」と、当時「東の横綱」とも呼ばれた常総学院(茨城)に進学した。昨年亡くなった名将・木内幸男監督の指導も受け、「技術だけでなく、一つ一つのケースに合わせた動き方など頭脳の部分も教わった」と振り返る。レベルの高さゆえ最後の夏はスタンドで迎えた。3年間で甲子園には一度も出られなかった。 高校を卒業したタイミングで県高野連の審判部に入部。きっかけは高校の練習試合で審判の経験があり、父親から「やってみたらどうだ」と後押しされたことと、「審判でも甲子園に行ける。選手として行けなかった甲子園を目指したい」という思いだった。 ルールは複雑で覚えることがたくさんあり、瞬時の判断が必要なプレーも多い。最初はジャッジに自信が持てなかったが、大舞台を経験するうちに自信がついた。2019年には初めて夏の栃木大会決勝の球審を任された。現在は審判部の技術指導委員も担うなど、審判部の中核として今後の活躍も期待されている。 本来は昨年のセンバツで甲子園の土を踏む予定だった。だが大会は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で中止に。「状況が状況なので仕方がない」と受け止めたが、再び派遣審判委員に選ばれるかは未定で、気をもんでいた。それだけに1年越しの派遣が正式に決まった時は「よし」と心の中で拳を握りしめた。3月は練習試合4試合で塁審を務めて調整し、「勘も戻ってきた」と表情は明るい。 センバツでは3試合で塁審を務める予定という。川島さんは「今は緊張しているが、試合に入ってしまえばグラウンドが違うだけだと思う。毎日が勉強だと思うので、一日も無駄にせず、戻ってきたときに後輩たちに良いアドバイスができれば」と話した。