学校では学べない、生き延びたユダヤ人達の証言「ヒトラーを欺いた黄色い星」
第2次世界大戦下のナチスによるユダヤ人迫害を描いた映画は数あれど、「ヒトラーを欺いた黄色い星」は珍しいタイプの映画かもしれない。壮絶な人生が語られながらも、どこかに明るい光が感じられる。 1941年~45年、ナチスに虐殺された欧州のユダヤ人は約600万人と言われている。そのうち約16万人のドイツ国籍を持つドイツ系ユダヤ人は国外移住を禁じられ、違法なルートを使ってさえも国外脱出は不可能だった。一時的にだが運よく“東”(強制収容所)行きを逃れたユダヤ人は全財産を没収され、黄色い星を胸つけ、ナチスの監視下に住まわされた。いつ一斉検挙があるのかもわからない。たったいま身を寄せ合っていた親しい人が目の前で連行される。それをただ怯えて見ているしか策はなかったのか? そしてナチス宣伝相ヨーゼフ・ゲッベルスは1943年6月、ベルリンからユダヤ人を一掃したと宣言した。しかし、じつは約7000人ものユダヤ人がベルリンに潜伏し、そのうちの約1500人が終戦まで生き延びたのだった。
歴史に埋もれていた真実 ナチスから逃れたユダヤ人4人が語った言葉とは?
生きるか死ぬかの極限下で、迫り来る恐怖をかわし、どう逃げ延びたのか? 存在を周囲に悟られぬよう息をひそめて暮らすユダヤ人たちが集まる一室に突如として訪れる激しくドアを叩く音と軍靴の響き。追っ手から隠れて逃げるスリリングな場面や愛しい人たちとの悲しい別れもあるのだが、恐怖や悲愴感ばかりがこの映画を色づけているのではない。ある者はユダヤ人の命を救うために身分証偽造を行い、またある者はヒトラー青少年団の制服を着て身分を偽り、反ナチスのビラ作りに協力した。髪を染めて別人になりすましたり、戦争未亡人のふりをして映画鑑賞に出かけたりする者もいるなど、与えられた状況下で精一杯人間らしく生きる。そして彼らは決して一人ではなかった。レジスタンスや善良なベルリン市民が、自らも危険を知りながら手を差し伸べてくれたのだ。その中には驚くべき職業の者もいた。