円は144円台に下落、「石破ショック」消化-日銀の主な意見も重し
(ブルームバーグ): 1日の東京外国為替市場で円相場は1ドル=144円台に下落。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の発言で米大幅利下げ観測が後退した上、自民党総裁選の石破茂氏勝利に伴う円高・株安のショックを消化し、円を売り戻す動きが優勢になっている。
日本銀行が公表した9月の金融政策決定会合の「主な意見」では、政策委員から追加利上げ、市場との対話を従来以上に丁寧に行う必要があるとの意見が公表され、円の重しになっている。
大和証券の石月幸雄シニア為替ストラテジストは、需給的に円売り・ドル買いに傾斜していた流れが継続しているとし、「ひとまず『石破ショック』は消化した感じで、円高圧力は低下しつつある」と指摘。日銀の「主な意見」については「過度な円安一服で追加利上げは急がなくてよいという意見に集約しつつある印象だ」と述べた。
9月30日の米国市場では、パウエルFRB議長の発言を受けて大幅利下げ観測が後退し、米金利高を受けてドルが上昇。米金利スワップ市場では11月の0.5ポイント利下げの織り込みが3割程度まで低下した。
三井住友信託銀行米州部マーケットビジネスユニットの山本威調査役(ニューヨーク在勤)は、パウエルFRB議長は年内0.25ポイント利下げ2回をベースケースとして暗に示唆し、利下げを急ぐ必要はないとの姿勢だと指摘した。
9月の日銀決定会合では、植田和男総裁が会合後の会見で利上げを急がない姿勢を示していた。三井住友信託銀行の山本氏は「植田総裁の慎重なトーンが伝われば、円が売られやすい」と指摘。石破氏勝利に伴う円高についても「日銀がどんどん利上げできるようになったわけでもなく、市場も冷静になれば落ち着いてくる」との見方を示した。
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Saburo Funabiki