台風対策、おわら懸命 県内最接近の1日開幕 「中止せず」各町で対応
●富山・八尾 ぼんぼり撤去 「越中八尾おわら風の盆」が開幕する9月1日に台風10号が富山県内に最接近する見通しとなり、富山市八尾町でおわらを受け継ぐ11町が台風対策に追われている。おわら風の盆行事運営委員会は現時点で「中止は考えていない」として、各町で風雨対応を取るよう通達した。各町では強風でぼんぼりが倒れる懸念があるため、28日も撤去が進められた。 おわら風の盆行事運営委員会によると、風の盆当日の実施内容や台風接近を受けた対応は警察、消防など関係機関と協議して1日に決定する。 ただ、各町が行う町流しなどの準備に関しては個別の対応を求めている。下新町(したしんまち)では28日、壮年団を中心とした約10人が、井田川沿いに設置してあったぼんぼり35基を撤去した。榮達也総代は「本来はテントの設営や音響調整をする段階だが、今は晴れるのを待つしかない。安全に考慮して踊りを披露したい」と話した。 天満町はぼんぼり約40基を29日に取り外す。吉川孝之総代は、過去には風雨で川に落ちて流されたケースもあるとし、「天気が良くなるのを祈るしかない」と話した。他の町でも撤去が進められた。 ●晴れ間に町流し 上新町は風雨の状況次第で、晴れ間を縫って町流しをしたり、公民館で踊ったりといった対応を考えている。八十島大輔総代は「雨で大切な楽器が水にぬれるといけない。当日の状況をみて動きたい」と語った。 風の盆は江戸中期から続くとされ、豊作や安寧を願う行事。三味線や胡弓(こきゅう)の音色と唄に合わせ、編みがさ姿の住民が三日三晩踊り明かす。今年はコロナ前の2019年まで続けられていた前夜祭や各町の競演「おわら演舞場」を引き続き行わず、伝統の継承を基本にした風の盆とする。