メキシコ史上初の「女性大統領」誕生!ノーベル平和賞受賞歴もあるクラウディア・シェインバウムに迫る
気候科学者でもある
シェインバウム氏は、大統領選に出馬する以前の2018年から2023年までメキシコシティ市長を務めたことや、国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」のメンバーを務め、気候変動の緩和に関する報告書を共著してノーベル平和賞を受賞したことでも有名。ロペス・オブラドール大統領がメキシコシティ市長だった時代には、同市の環境局長を務めていた。 彼女の本業は科学者であり、メキシコ国立自治大学ではエネルギー工学の博士号も取得している。ロペス・オブラドール大統領は、研究資金を削減する政策や、環境を脅かす開発プロジェクトなど、科学界で非常に不評だった政策への反発に直面していた。しかしシェインバウム氏は、自身の科学者としての経歴に焦点を当てることで、大統領選の多くの場面で対立候補との差別化を図ってきた。 なおシェインバウム氏は、ロペス・オブラドール大統領と緊密な同盟関係を築いているが、独自の道を切り開くことも有権者に約束している。『ブルームバーグ』によれば、彼女は自身の大統領の任期終了までに、メキシコの電力の50%をゼロカーボン電源で供給することを目指す強固な気候変動対策や、再生可能エネルギーへの136億ドルという巨額投資、国内の公共交通機関の整備などを公約している。
リトアニアとブルガリアからのユダヤ系移民の血を引く
カトリック教徒が大多数を占めるメキシコで大統領に就任するシェインバウム氏だが、自身はユダヤ人のルーツを持っている。 彼女は、2020年に『ニューヨーク・タイムズ』に対しこう語っている。「もちろん私は自分の出自を知っていますが、両親は無神論者でした」「私はユダヤ人コミュニティに属したことはありませんし、私たちはそこから少し離れて育ちました」 また『タイムズ』紙によれば、シェインバウム氏の両親はともに、ホロコーストが始まるなか、東ヨーロッパから逃れてきたユダヤ人の子どもだという。 彼女の父、カルロス・シェインバウム・ヨセレビッツは、20世紀初頭にリトアニアを離れたアシュケナージ系ユダヤ人の両親の血を引いているそう。いっぽう母のアニエ・パルド・セモ(左)は、ホロコースト以前にブルガリアに住んでいたセファルディ系ユダヤ人の両親の血を引いているとのこと。シェインバウム氏はメキシコシティで生まれている。 メキシコでは政治的分裂による混乱が続いているが、シェインバウム氏は次期大統領としての最初の演説で、その溝を埋めたいと語った。 『AP通信』によると、彼女は次のように話している。「たとえ国民の大多数が私たちの政策を支持したとしても、私たちの義務は分け隔てなく一人ひとりのメキシコ人に気を配ることです」「たとえ国民の大多数が私たちの政策に反対したとしても、私たちは平和と調和のなかで歩んでいかなくてはなりません」 シェインバウム氏は、2024年10月より大統領に就任する。
From Harper’s BAZAAR.com