スマホで「聴く読書」、はっきり見える大活字本…「読書バリアフリー」多様な図書で楽しみ広がる
読書バリアフリー法は、環境整備に関する計画の策定を自治体の努力義務と位置づける。今年2月に文部科学省が行った全国調査では、九州・山口・沖縄の全9県が計画について「策定済み」「策定作業中」などと前向きに回答した。
一方、市町村立の図書館では整備が十分とは言えず、専修大の野口武悟教授(図書館情報学)は「読みにくさを感じる人は各地におり、図書館によって環境に差があるのは平等でない。誰もが同じようにサービスを受けられることが望ましい」と訴える。
図書館に「声出しOK」部屋
佐賀県立図書館(佐賀市)は2022年、子連れや高齢者、障害のある人など誰でも使える部屋「みんなの森」を設置した。声を出してもよく、人目を避けて気持ちを落ち着かせられる空間「カームダウンコーナー」も設ける。昨年度には延べ約6000人が利用した。
読書バリアフリー法の成立をきっかけに、県内の車いすユーザーや視覚障害者らから意見を聞き、整備した。館内の各所にあった大活字本や点字のついた絵本などを集約。蔵書も増やし、約1300点を貸し出す。拡大鏡や読み上げ機能のある機器も備え、自宅に届いた郵送物などに利用する人もいるという。
専用の部屋を構えている図書館は珍しいといい、古賀由紀子館長は「誰もが読書を諦めることなく、自分に合った形を見つける場所になるよう、今後も充実させていきたい」と話す。