ドル独歩高と中国悲観論、新興国株式への配分を抑制ーBofA調査
(ブルームバーグ): 米ドル高と中国経済の先行きに対する悲観論が新興市場国(EM)株式へのエクスポージャーを抑制する一方、米国株への配分は一段と高まっていることが、バンク・オブ・アメリカ(BofA)のファンドマネジャー調査で分かった。
調査によると、新興市場国の株式をオーバーウエートとする割合は依然として、日本、欧州、米国の株式よりも大幅に低い。資産運用担当者の多くは米金融当局が2024年下期に利下げに踏み切るとみている。米利下げ開始はリスク資産の妙味を高める要因となり得るが、MSCIの新興市場国株指数は年初来5.7%上昇にとどまっている。これに対し、先進国の株式指数は8%近くの値上がりだ。
BofAのストラテジスト、エリヤス・ガロウ氏(パリ在勤)は「投資家はまだ新興市場国の株式に確信を持てていない」と指摘。「中国の弱さと米ドルの底堅さという組み合わせが新興市場国の株式には有利に働かない」と述べた。
調査によると、中国株の空売りは特に人気のある取引戦略の一つで、これ以上に人気の取引はドルロングと米ハイテク7社「マグニフィセント・セブン」のみだ。
構造的な悲観論
新興市場国の株式への配分は長期平均を下回る4%のオーバーウエートで変わらず。これに対し、ユーロ圏の株式は18%、米国株が12%、日本株が20%となっている。
ガロウ氏は「われわれは目下、恒常的な強気相場の中にあり、新興市場国よりも先進国、他の諸外国よりも米国がそれぞれ有利な状況にある」と指摘。「新興市場国の株式に対するエクスポージャーを増やすには、ドルがこの先下落し、中国が長期的に不動産セクターの債務問題に対処することで改善できるとの確信が強まることが必要だ」と述べた。
「中国株が構造的な強気相場であると投資家はまだ確信できおらず、中国に対する構造的な悲観論が見受けられる」という。
原題:King Dollar, China Woes Dent EM Stock Exposure, BofA Survey Says(抜粋)
(c)2024 Bloomberg L.P.
Selcuk Gokoluk