欧州全域にテロ拡散 「スペイン奪還」目論むISやアルカイダ
2004年にはマドリードで列車爆破テロ
スペインでは2004年3月に、アルカイダとモロッコの過激派「モロッコ・イスラム戦闘集団」(GICM)のメンバーらが実行した「マドリード列車連続爆破テロ」で191人の通勤客らが死亡、1800人以上が負傷して以来、政府が厳しくテロを取締り、これまで何とかテロを封じ込めてきました。 それだけに今回のバルセロナほかでのテロ事件は、地元のみならず、欧州全域に大きなショックを与えました。被害者の国籍も34か国に及んでいます。自動車を使用したテロの手口は、昨年から今年にかけてフランスやドイツ、イギリスなど欧州の大都市で次々に発生したテロと全く同じものであり、犯人の背後にも同一の組織が存在していると考えられるためです。スペインでは、テロの実行には至らなかったものの、これまで数多くのテロ計画が未然摘発されてきました(図表参照)。
特にスペインの北東部、地中海に面するカタルーニャ地方は、これまでも何度かイスラム過激派に狙われてきました。最初にスペインに乗り込んできたイスラム過激派は、アルカイダとGICMの2つでした。 モロッコ移民が多いスペインにGICMが浸透するのは当然のことです。しかも、GICMは、アルカイダのオサマ・ビン・ラディンに忠誠を誓い、マドリードの列車爆破テロを起こした理由として、スペイン軍のイラクからの撤退を声高に叫んでいました。「9.11テロ」の首謀者といわれたモハメド・アタも、同テロ事件を起こす前にスペインに渡り、アルカイダのメンバーと打ち合わせしたことが後に判明しています。 またスペインのIS細胞は、ジハードの宣伝のために重要な役割を果たしており、特に女性ジハーディストのリクルートに力を入れてきたといわれています。同国政府筋の発表では、100人以上のスペイン市民がシリアやイラクで戦闘に参加するために出国しているとのことです。ちなみに、モロッコ政府の発表では、同国から2000人以上のモロッコ人がシリア、イラクに渡り、ISほかの過激派組織に合流して戦っているといいます。