【春季沖縄大会】宜野座が秋春連続4強入り、最少得点ながら相手にダメージを与えて快勝
<第71回沖縄県高校野球春季大会:宜野座3-0嘉手納>◇30日◇準々決勝◇宜野湾 大会初登板の比嘉 翔吾は、多くの好投手陣を擁する宜野座にあって、背番号こそ7だが、大黒柱として秋はエースナンバーを背負っていた。「彼の良いところが出た。ずっと前からこの日が登板だぞと伝えてきて、きっちり調整してくれた」と宮城 岳幸監督。ヒット6本を許す中、それぞれのイニングの中で、2本目は阻止し続ける粘り強いピッチングで最後まで投げきり完封。チームを春の大会10年ぶりのベスト4へと導いた。 【トーナメント表】春季沖縄大会 結果一覧 宜野座は3回、1死からエラーで出塁した後、9番・山城 連が三塁へのバント安打を試みる。これが一塁への悪送球となり二走が生還し先制した。 さらに5回、8番・大城 祐乃が左翼への二塁打で出塁。雄叫びでベンチを鼓舞すると、2死三塁の場面から2番・東成が絶妙なバント。もちろん2死なので一塁でアウトにすれば良いのだが、転がすタイミングと走り出す瞬間、そしてトップスピードの全てが完璧で一塁セーフ。東成だけでなく、この冬、ナインがやってきたスモールベースボールは通用すると、改めて感じられる1点でもあった。 6回にも押し出し四球で加点した。 投げては左腕・比嘉 翔吾が粘投。低めに落ちる変化球を駆使して嘉手納打線に的を絞らせず、終盤のピンチも冷静に対処するなど要所を締めて見事完封。10年ぶりのベスト4進出へとチームを導いた。 「欲を言えば打撃に関してもまだまだできる子たち。これから帰ってすぐ練習です」と宮城監督も、勝って兜の緒を締めることを忘れない。相手は興南に決まった。ジャイアントキリングから春の頂点へ。そして夏には、2001年以来となる甲子園への切符まで突き進む。
夏への可能性大の嘉手納ナイン
敗れた嘉手納は、秋の初戦敗退から復活を印象付ける8年ぶりのベスト8入りだった。秋ベスト16の未来沖縄に4対3。同じく秋ベスト8の美里工に5対0。コザにも7対2と、格上の3校を撃破したのは立派だった。チーム打率こそ.290だが一番大切な出塁率は.371にはね上がる。シードの宜野座は試合数こそ嘉手納より1試合少ないが、3回戦までの宜野座と嘉手納のチーム成績を比べてみる。 宜野座 嘉手納 .259 (打 率) .290 .355 (出塁率) .371 .296 (長打率) .355 0.778 (BB/K) 1.182 1.50 (防御率) .100 宜野座も小禄、豊見城と強敵と戦って勝ってきたが、嘉手納も前述の通り秋で上位進出し、この春さらに上を目指していた強豪校ばかりに勝利してきた。宜野座との差は、ほとんど無いばかりか、嘉手納が上回っていた。與那城 吾朗監督は「君たちは自分たちの力をまだ信じていないかも知れないけど、僕は本気で、君たちならこの夏、てっぺんを取れると思っている。そのために何が必要なのか?」と、ナインに伝えてきた。 例えば、先制点を与えたのは悪送球だった。チャンスの場面での牽制死が痛かった。さらに宜野座が得点した3点は全て、綺麗な適時打ではなかった。決められたセーフティースクイズも、相手なら2死でもやってくると声かけしていれば、防げたかも知れない。思えば宜野座野手陣は、比嘉 翔吾を中心に、これでもかというくらい声掛けして確認を怠らなかった。 日頃の学校生活や家での行動などなど。自らを律し周囲への気配りをしてみるなど、ほんの些細なことで、自分たちの野球観が驚くほど変わる可能性があるのが高校野球。まだ遅くはない。秋の屈辱を晴らし、春で3勝してみせた嘉手納ナイン。大先輩が成し遂げた2016年の夏以来となる甲子園への道を本気で目指してほしい。