大谷翔平選手のホームランを「ムーンショット」 由来は〝月まで届くような…〟じゃない
「オオタニ ムーンショット!」 ドジャースに移籍した大谷翔平選手が放ったホームランが、こんな風に表現されていました。その由来は、月(ムーン)まで届くような……ではありません。実は、大谷選手が今季から所属するチーム・ドジャースと、深い関係があるというのです。言葉の意味を深掘りしてみました。(朝日新聞校閲センター記者・本田隼人) 【画像】大谷選手のホームラン「Moon Shot」の投稿はこちら
実はニューヨーク生まれのドジャース
大谷選手が放ったホームラン。大リーグ機構(MLB)の公式X(旧Twitter)やYouTubeチャンネルでは「オオタニ ムーンショット!」と表現されています。 みなさんも目にしたことがあるのではないでしょうか。 「ムーンショット(Moon Shot)」は「高々と上がった大きな当たり」という意味ですが、その由来は「月」ではないというのです。 MLBやドジャース球団の資料から、「ムーンショット」という言葉と、ドジャース球団の歴史をひもといてみました。 ドジャースといえば、アメリカ西海岸・ロサンゼルスの名門球団。しかし、創設から一貫してロサンゼルスを本拠地にしているわけではありませんでした。 今から140年前、前身の球団がニューヨークで誕生しました。 何度かホーム球場を移転し、1913年からはブルックリン地区にあるエベッツ・フィールドを使用。当時としては珍しい、劇場のような豪奢(ごうしゃ)な球場だったようです。 ちなみに「ドジャース」が正式な球団名になったのは、創設から50年後の1932年。 ニューヨークの街を走る路面電車を“dodge=かわす”ようにして行き来するファンらが”dodgers”と呼ばれていたことに由来します(ちなみにドッジボールの「ドッジ」も、“dodge=かわす”の意味です)。 そんなエベッツ・フィールドも、徐々に老朽化が進んでいきます。 1950年に筆頭オーナーとなったウォルター・オマリー氏は、新球場の建設計画を立てます。5万5千もの観客席を備えた巨大なドーム球場に、映画館なども設置する壮大な計画でした。 しかし、計画は難航します。新球場は「交通渋滞の原因になる」と、当局が難色を示したのです。交渉は数年にわたったものの、業を煮やしたオマリー氏は、ほかの都市に目を向けました。 それがロサンゼルスでした。