「常に安定せず、根無し草のように漂っている」ほぼ100%自然体、ふかわりょうという生き方
「……有吉とか、さまぁ~ずの三村さん、大竹さんとか……一緒に年を重ねて、今でもずっとテレビでも見ていられて、くだらないことで笑っていられることが、本当に嬉しいんです。みんなそれぞれ年を取って、優しい顔で僕を見てくれるんですよ。それがすごく幸せなことだなと」 思いがけずこみ上げた涙に本人も驚きながら、タオルで目蓋を押さえ、息を整える。 「20年以上前、若手の頃から一緒にやってきた同志や先輩たちが、今もなお、活躍していて。毎日顔を合わせるわけじゃないけれど、たまに言葉を交わせばすぐに笑い合える。これが、僕にとっての財産だな、と……」 「ああ……全米が泣いても僕、泣かないんですよ」、そう照れながら、泣き顔は笑顔に変わった。 「すみません。なんというか。本当に、これが、今の正直な気持ちです」 本当の自分。ありのままの自分。そこに向き合いながら、芸能界に残り続けるということ。元来真面目で、世の中と足並みがそろわない自分を認めて生きてきたふかわ。 「30代で、自然体な自分、ありのままの自分で活動をするとなった時に、偽りの自分で収入を得るよりも、本当の自分で収入を得ないほうが清々しいと思いました。だからこそ、20代でいろんなことを感じられた時間と仲間が、大切に思える。今後はどうなるかわからないですけど、もしも自分が世の中に求められなくなったとしたら、それはそれで受け入れようということですね。最終的にはアイスランドの海辺の小さな家で羊たちと暮らして、たまにYouTubeで生中継とか、そういうビジョンがぼんやりとあるので、今物件を探しています。まだ先の話になると思いますけど(笑)」
ふかわりょう 1974年、神奈川県横浜市出身。慶應義塾大学在学中の94年にお笑い芸人としてデビュー。長髪に白いヘアターバン姿で「あるあるネタ」をつぶやく「小心者克服講座」で一世風靡。現在は『5時に夢中!』のMC、『ひるおび!』のコメンテーターを務めるほか、ROCKET MAN、Ryo Fukawa名義で音楽活動も行っている。今年、8年ぶりに執筆した書き下ろし『世の中と足並みがそろわない』(新潮社)により、エッセイストとしての評価も高まっている。