「頑張って行ってこいという雰囲気ではない」佐々木朗希のメジャー挑戦に関して球団OBからも"苦言"が呈される「理由」
令和の怪物のメジャー挑戦が大きく話題を集めている。 ロッテ球団は11月9日、プロ5年目シーズンを終えた佐々木朗希に関してポスティングシステムによるメジャー移籍を承認したと発表。入団時からメジャー志向を明らかにしてきた、最速165キロ右腕がいよいよ海を渡ることが確実になった。 【動画】日本人最速の165キロを記録!凄みを増した佐々木朗希の広島戦のピッチングの映像 一方、入団から5シーズンで年間通して戦ったことが1回もないこと、今季も度重なるコンディション不良でチームを離れた時期もあったことで、果たしてメジャーの長丁場に耐えられるのかという疑問の声もある。 佐々木のポスティング、メジャー挑戦に関しては球界内からも様々な考察の声が上がっている。 ロッテOBで中日でプレーした経験も持つ、野球解説者の愛甲猛氏が大久保博元氏のYouTubeチャンネルにゲスト出演。11月10日までに更新された「佐々木は厳しい?愛甲さんが考える活躍するNPB左腕とは」と題した動画内で、私見を語っている。 まず佐々木の投球の特徴に関しては「佐々木の真っすぐはフォーシームのわりには、すごいシュートする。シュート気味に入ってくる。(22年4月に)完全試合をやったときでも、映像をよく見ると、キャッチャーはアウトコースに構えていたが、インコースのいいところにシュートしている。逆球が結構多い」とした。 投球術に関しては「カウントを取りにいく球が、真っすぐじゃなくてスライダーだけになると、きついかな」と、コンビネーションの課題も口にした。 一方、剛速球が注目されるが「佐々木よりも速く投げるメジャーの投手はいっぱいいる」としながら、「平均が153キロとかだから。162試合、その間、ずっと投げていけるのか。今年だって(シーズン中に)2回休んでいる」と定期的に休養が必要な肉体面にも目を向けた。 佐々木は今季18試合に登板し、10勝(5敗)とキャリア初となる2桁勝利をマーク。一方、2度戦線離脱するなど、年間を通してローテーションは守れず、規定投球回は未達に終わった。 さらに球団の後輩でもある右腕のメジャー挑戦について、愛甲氏は「ちょっといろいろ問題があったじゃない。アメリカに行く行かないで」と切り出した。昨オフもメジャー移籍をめぐって球団と越年交渉、またプロ野球選手会も脱会していたことが明らかになるなど、近年佐々木のメジャー移籍願望は表面下する一方で、ロッテファンの間では、チームに在籍している間はチームを支えるパフォーマンスを示してほしいという声もあった。 結果として在籍5シーズンで、シーズン通して稼働した年はなく、今季も2度の離脱など、規定投球回には至らなかった。 愛甲氏はこう続けた。 「日本人としては、あの感じはあまり受け入れられないよね。頑張って頑張って、みんなで『頑張って行ってこい!』という雰囲気ではない。頑張ってほしいというのは全然あるけど、もっと日本でがむしゃらに頑張ってほしいという感じはある」。在籍するロッテでもっと頑張ってほしかったと率直に球団OBとしての思いを語ったのだ。 近年では多くの選手がポスティングシステム、海外FA権を行使して海を渡っている。選手それぞれの背景もある中で佐々木の挑戦に関しては、いまだに多くのロッテファンが未消化な思いを抱えているのも事実だ。 ただすでに局面は前へ進んでいる。今後は佐々木がどの球団に在籍するか、来季以降のパフォーマンスが要注目となりそうだ。 [文/構成:ココカラネクスト編集部]