恐怖…トイレから引きずり出された男性、殴られ監禁 「生きて帰れないかもしれません」と襲った2人に執行猶予5年の有罪判決 “ゴッサム”“アカニシ”の指示「よその案件やってましたよね」…執行猶予が付いた理由
闇バイトに応募した男性=当時(34)=を暴行し車に監禁したとして、逮捕監禁と恐喝未遂の罪に問われた東京都小平市、無職佐藤拳太被告(25)と住所不定、無職饗庭元被告(21)の判決公判が23日、さいたま地裁で開かれ、中川卓久裁判官は「従属的立場だった」として、いずれも懲役3年、執行猶予5年の有罪判決を言い渡した。求刑は、佐藤被告が懲役3年、饗庭被告が懲役3年6月だった。 男性が襲われたトイレの写真 広い公園で人おらず 18歳ら武装、家族も襲撃されそうになる【写真2枚】
中川裁判官は判決理由で、指示役が被害者を脅迫し、両被告も指示を受けて実行したとして「役割分担しながら行った組織的、計画的犯行。犯罪組織が闇バイトに手を染めた者に制裁を加え実行役を確保し、組織の維持を図る側面も有する」と指摘。2人の刑事責任は重いとしたが、「従属的立場だった」ことを考慮し、執行猶予付きの判決が相当とした。 弁護側は暴行の程度が重くないことや主体的犯行ではなく、指示役の指示の範囲にとどまっていたと主張し、執行猶予付き判決を求めていた。 判決などによると、両被告は氏名不詳の者らと共謀し、8月27~28日、埼玉県さいたま市西区の西遊馬公園内にある仮設トイレで男性を暴行し、乗用車の後部座席に押し込んで数時間監禁。車内でさらに暴行し、「よその案件やってましたよね」などと言い、現金を脅し取ろうとした。 ■謝罪し「力を緩めて殴った」(以下、初公判時の記事) 闇バイト応募者の男性=当時(34)=を車に監禁したとして、逮捕監禁、恐喝未遂の罪に問われた東京都小平市、無職の男(25)と住所不定、無職の男(21)の初公判が12日、さいたま地裁(中川卓久裁判官)で開かれ、両被告は起訴内容を認め、「やめたら同じことを自分がされると思った」などと供述した。検察側はそれぞれ懲役3年と懲役3年6月を求刑し、弁護側は執行猶予付き判決を求め即日結審した。判決は23日。
検察側の冒頭陳述などによると、両被告は交流サイト(SNS)で闇バイトに応募し、「ゴッサム」「アカニシ」などと名乗る指示役の指示を受け、さいたま市西区の西遊馬公園内の仮設トイレに呼び出された男性に腹を殴るなどの暴行を加え、車に監禁。車内では指示役が通話で、他の組織で闇バイトをしようとしたととがめ、「生きて帰れないかもしれませんよ」と脅し金銭を要求。男性がキャッシュカードを取りに自宅に戻った際、母親が110番した。 男性は供述調書で、携帯電話を購入する闇バイトを行い、購入費用の受け渡しのため呼び出されたと説明。被告らに暴行を促した指示役に「恐怖を感じた」と振り返り、「逆らえないことは共感するが、反省や更生のため、処罰してほしい」と厳罰を望んだ。 被告人質問で、犯行について、25歳男は「債権回収みたいな内容」、21歳男は「ATMを操作する男を監視する仕事」と聞かされていたと説明。21歳男は男性を殴るよう指示され、「本気ではなく力を緩めて殴った」と強調し「怖い目に遭わせ申し訳ない」と謝罪した。