【陸上】日本インカレ見どころ男子トラック編/鵜澤飛羽が最後のインカレ 100m栁田大輝は連覇なるか 400mH小川、110mH阿部も注目
9月19日から4日間、天皇賜盃第93回日本学生陸上競技対校選手権(日本インカレ)が神奈川県・Uvanceとどろきスタジアムby Fujitsu(等々力陸上競技場)で行われる。 【日本インカレ見どころ/男子フィールド】柄澤智哉の記録に期待! 今季好調の安立雄斗、80mスロワー清川裕哉も注目 母校の威信を懸けて争う学校対抗、そして学生日本一を懸けた争い。男子トラック種目の注目選手を紹介する。 男子トラックは「パリ五輪代表対決」となる100mに注目だ。200mセミファイナリストの鵜澤飛羽(筑波大)と、4×100mリレー代表で前回覇者の栁田大輝(東洋大)が激突は、今大会最大の見どころとなるだろう。 鵜澤はこれまで脚への負担から複数種目をこなすのが難しかったが、200m、4×100mリレーを含め、最後のインカレでチームへの貢献を誓う。五輪を経て、走り方の感覚をつかみつつあるようで、後半に爆発的な追い上げを見せるだろう。記録面では公認ベストの10秒30はもちろん、1年時に出した“自己最速”の10秒07(追い風参考)も十分視野に入る。 もちろん、本職の200mは自己ベスト(20秒23)、来年の東京世界選手権参加標準記録(20秒16)、そして日本記録(20秒03)も狙って4日間を戦い抜く。 栁田は、パリ五輪4×100mリレーで決勝を走れなかった悔しさをぶつける舞台。6月の日本学生個人選手権では追い風参考ながら9秒97(+3.5)をマークしており、その後に崩れた走りの感覚を取り戻せれば“本命”となる。 そこに、4×100mリレー補欠の山本匠真(広島大)、関東インカレ1部1位、2位の守祐陽(大東大)、井上直紀(早大)、藤原寛人と黒木海翔の中大コンビ、世界リレー代表の三輪颯太(慶大)らも加わり、学生最速を決める争いは大熱戦の予感が漂う。 200mで鵜澤を追う勢力は、関西学生記録(20秒60)を持つ松井健斗(関大)、中大の植松康太とエケ・ジュニア瑠音、鈴木大河(日大)、重谷大樹(東洋大)ら混戦模様だ。 400mは昨年Vの眞々田洸大(早大)に連覇が懸かる。前回3位の林申雅(筑波大)、メルドラム・アラン(東農大)や木下祐一(法大)といった“復活組”も上位をうかがう。 近年、記録の底上げが激しい110mハードル。今季好調の阿部竜希(順大)は13秒32を持つ。来年の東京世界選手権の参加標準記録(13秒27)も視野に入る。泉谷駿介(住友電工)、村竹ラシッド(JAL)とつないできた“系譜”を初優勝で引き継げるか。 日本学生個人で優勝し、追い風参考ながら13秒41(+3.1)を出している樋口隼人(筑波大)も有力。小池綾(法大)、西徹朗(早大)、ケガから復活すれば藤原孝輝(東洋大)あたりが上位候補だ。 400mハードルには豊田兼(慶大)と小川大輝(東洋大)という前回同時Vの2人がエントリー。ともに今夏のパリ五輪にも出場した。豊田は6月の日本選手権で47秒99をマークして優勝したが、翌日の110mハードルで左ハムストリングスを故障。パリの合宿でも再発したというが状態はどうか。 小川はパリで予選、敗者復活ラウンドと2本走り経験を積んだ。ここに井之上駿太(法大)、前回3位の金本昌樹(早大)、高橋遼翔(法大)、栁田聖人(東洋大)らの争いだ。 800mは日本選手権5位、6位の鹿屋体大コンビ、岡村颯太と佐藤主理、2連覇を狙う北村魁士(山梨学大)、関東インカレ1部を制した石元潤樹(日大)らハイレベルのV争いとなりそう。1500mでは3分40秒切りのベストを持つ栗原直央(城西大)、安倍優紀(東海大)、U20世界選手権代表の寺田向希(中大)が牽引しそう。昨年のワールドユニバーシティゲームズ1500m代表の高村比呂飛(日体大)は800m、1500mに登録した。 5000mと10000mは留学生が中心。5000mは前回Vのリチャード・エティーリとアモス・ベットの東京国際大コンビが強力。13分28秒67を持つ伊藤大志)(早大)、復調してきた吉岡大翔(順大)がどれだけ食い下がるか。10000mは前回2位のシャドラック・キップケメイ(日大)、同4位のスティーブン・レマイヤン(駿河台大)がランキング上位を占める。エントリーの持ち記録日本人トップは小嶋郁依斗(京産大)の28分28秒40だ。 3000m障害は前回優勝の村尾雄己(順大)が力を発揮すれば連覇は濃厚か。10000m競歩は日本学生個人と関東インカレを制している近藤岬(明大)、U20世界選手権代表の吉迫大成(東学大)あたりが優勝候補に挙がる。 前回は東洋大が4×100mリレーの2冠。4×100mリレーは9月上旬には38秒92の大学新、学生歴代10位を叩き出している。関東インカレ上位の早大、中大、大東大、順大も候補挙がる。4×400mリレーは連覇を狙う東洋大を関東インカレで制した法大や、早大らによる争いとなりそうだ。 男子総合は順大が3連覇中。今年も関東インカレ総合Vを果たしており、4連覇へ突き進む。数々の名シーンを生んできた等々力陸上競技場も改修のため、大型大会は最後になるか。学生ナンバー1を決める熱き戦いは9月19日に幕を開ける。
月陸編集部