昭恵夫人はなぜ「日米関係のエモい状況」を作れたのか。石破首相が直視すべき「実力不足」の現実
◆昭恵氏はなぜトランプ氏と面会したのか、面会できたのか
帰国後の昭恵氏のX投稿によると、「できれば一言お礼とお祝いを言うためにお会いしたいとお願いしたところ、夕食会にお招きいただきました」という。 さらに、都内で講演を行った昭恵氏は、トランプ氏との面会について「いい夕食会だった」と触れるにとどまったが、最後に「私が動くことで、日本のことをよく思ってくれるのであれば、外務大臣などが行かれない地域に、主人が残してくれた足跡をたどって、行けたらいいなと思う」と語った。ただ筆者は、この発言が今回の顛末(てんまつ)の全てを物語っていると思う。 昭恵氏には何も悪気はなく、「純粋に日本のために何ができるのか」という思いがあったらしい。少なくとも、日本の政界に影響を行使したいとか、自民党内における安倍晋三元首相の対抗勢力だった石破首相に恥をかかせたいとか、リベンジしてやろうなどといった思惑はなかっただろう。 トランプ氏は、自身にとっても親しかった安倍氏暗殺の報を受け、事件当時から哀悼のコメントを送っており、今回昭恵氏とフロリダ州で会うまでも、何度か昭恵氏を気遣って個人的に連絡を取ることもあったという。 そんなトランプ氏は今回、さすがに日本政府に対しても気を遣って、先に触れた会見での発言にあるように石破首相へ本(トランプ氏の写真集)を送り、そこに「PEACE(平和)」とのメッセージを添えていた。
◆トランプ氏は「大人」になった?
そもそもトランプ氏はアメリカ第一主義の姿勢と、予想のつかない突飛な言動で周囲を困惑させる人物ではあるが、例えば、第一次政権時に比べて、明らかにトンデモ発言も減っている。多少「大人になった」と言うべきなのかもしれない。ただ相変わらず、メディアをボロカスに叩く発言は続けており、逆にメディアからは引き続きトランプを叩くネガティブ報道が続いている。 筆者としては、4万人以上の死者を出しているイスラエルとその周辺の紛争、さらに、24万人とも言われる死者を出しているロシアによるウクライナ紛争などの状況を見るにつけ、トランプ氏が紛争をすぐに終わらせると宣言していることだけでも、これ以上戦争で多くの人が死ななくて済むのならトランプ氏の手腕に期待したいと考えてしまう。 日本でも「平和主義」を掲げるリベラル層こそトランプ氏を支持すべきではないか。 そんなトランプ氏が糾弾に倒れた友人の妻に、「PEACE」というメッセージを石破首相に向けて託したのだから、石破政権側は素直にその意を汲み取り、昭恵氏にも感謝すべきだ。国会議員や官僚などが、国民のために仕事をしているという意識があるなら、それが普通の反応だと考える。