規制線が張られた殺害事件現場周辺では千葉県警による捜査が続いた＝19日、柏市高柳

　柏市高柳の住宅敷地内で18日午後6時ごろ、この家に住む夫婦が刺され殺害される事件が発生した。県警は19日、この事件に関与したとみて行方を追っていた住所・職業不詳の酒巻馨容疑者（77）を公務執行妨害の疑いで現行犯逮捕した。捜査関係者への取材で分かった。捜査関係者によると、職務質問から逃走しようとした疑いがあるという。夫婦が殺害された直後には、近くで住宅8棟が全焼する火災が発生。県警は、夫婦が死亡した経緯や火災について容疑者が詳しい経緯を知っているとみて事情を聴く方針。 　県警は夫婦が殺害された事件を受け、柏署に19日、120人体制の捜査本部を設置。殺害した人物の特定とともに、火災との関連を調べる捜査を進めていた。 　捜査本部によると、亡くなった夫婦は渡来敏明さん（59）と礼子さん（59）。敏明さんは腹部周辺に、礼子さんは左胸に刺し傷があったという。2人は背中を含む上半身を中心に多数の傷が確認され、手のひらや腕には刃物などから身を守る際にできる防御創があった。2人は搬送時、既に心肺停止状態で、犯人に強い殺意があったとみられる。 　2人は家屋の外の自宅敷地内に倒れていた。室内には、物が倒れたり血痕が残っていたりと争った跡も確認されたという。 　県警は18日午後6時10分ごろ、近隣住人の女性からの110番通報で事件を認知。「『家の裏に人が血だらけで倒れている』と隣人から言われた。倒れているのは近隣の夫婦で動かない。通報する10分前ぐらいに女性の人の争うような声が聞こえた」との内容だった。 　この通報の約10分後には現場から1キロ弱の同じ柏市高柳地区で「隣の家が燃えている」と110番通報があった。柏市消防局などによると、出火元とみられる木造平屋住宅と付近の住宅7棟の計8棟が全焼。8棟のうち平屋の住人の70代男性と連絡がつかず、県警などが確認を続けていた。この男性が容疑者とみられる。 　この火災では、燃えた住宅の住人と駆け付けた人の男女計2人が搬送されたが命に別条はない。18日午後11時5分ごろ、鎮火した。 　捜査本部は今後、殺害された夫婦2人の遺体の司法解剖を実施し、死因を特定するとともに、防犯カメラの捜査や聞き込み捜査を行い、殺害事件や火災の全容解明を図る。