【解説】東日本大震災の震源域のいまは? 7000メートルの海底の下を探る壮大プロジェクト開始 地球深部探査船「ちきゅう」船内公開
■船は「進むこと」より「止まることが」重要?
今回の掘削作業を、100分の1スケールで考えてみましょう。「長さ2メートルの船の模型を持って18階建てのビルの屋上まで持って行き、そこから直径1ミリのワイヤーをたらして、地面の直径4ミリの穴の中に入れる」ような作業だということです。
この緻密な作業を行うため、「ちきゅう」の船の機能として重要になるのは、実は海面を“進むこと”ではなく、“とどまること”だといいます。風の向きや強さなどを勘案し、船の底についている巨大な6つのプロペラを自動で稼働させることで、海上で一定の場所にとどまります。
さらに、「ちきゅう」の船内には研究施設もあり、採取した地層のサンプルを、船の中で直接研究できます。今回の調査では、世界10か国から、50人以上の地震や地質の研究者が参加します。
■巨大地震の解明に繋がるのか
今回のプロジェクトに参加する、氏家恒太郎・共同首席研究者は、「時間の経過とともに、プレート境界の固着がどのように変わってくるかを実験で調べて"関係式"を作りたい。その関係式に時間を入れれば、どのくらいで地震がおこるかの目安になるかもしれない」と話しています。 また、東日本大震災のような巨大地震は、1000年に一度おこるかどうかの出来事だったと言われていますが、「本当に1000年に一度の出来事だったのか、次の地震にむけてまた固着を始めているか、ある一定の答えを出すことができると期待している」ということです。 地震のメカニズムのさらなる解明につながるのか、注目されます。