焦点:iPhone売上反転目指すアップル、AI導入でアピール
Jeffrey Dastin Aditya Soni [サンフランシスコ 10日 ロイター] - 米アップルの開発者会議が10日開催され、チャットGPTを含む最新のAI(人工知能)技術を自社のソフトウエアに組み込む以上の内容だった。それはより多くのiPhoneを売るためでもある。 不安定な個人消費とライバルとの競争に直面するアップルは熱烈なファン層に訴えかけ、iPhoneの売上減少を反転させる方法としてAIに期待を寄せている。 複数のアナリストは少なくとも「iPhone15 Pro」、「iPhone15 Pro Max」から対応するこのソフトウエアについて、新規購入を促す可能性があると指摘。一部では2020年の「iPhone12」リリース以来最大の更新サイクルが秋に来るとの予測も出ている。 D・A・デビッドソンのアナリスト、ジル・ルリア氏は「きょう目にしたものは、それ以降に見たどんなものよりも引き付けられた」と述べた。 アップルは音声アシスタント「Siri(シリ)」などのアプリに生成AI技術「アップルインテリジェンス」を導入すると発表。この日のプレゼンテーションでは、電子メールやカレンダー、アプリでの活用例が披露され、Siriがメールを書くなどの機能が紹介された。 アナリストの中には懐疑的な声もある。 フォレスターのアナリスト、ディパンジャン・チャタジー氏は「おそらく、このところ失われているデバイス収入の一部を食い止めるには十分かもしれないが、新しいファン層を築くには十分ではない」と話す。 グローバルXのテジャス・デサイ氏は「投資家はAIに関してアップルからもっと包括的で野心的な戦略を求めている」と語った。 アップルの株価は今回のニュースで2%下落した。 <キラーアプリ> ウェドブッシュ証券のアナリスト、ダン・アイブス氏は、約2億7000万台のiPhoneが4年間更新されていないと推計。「アップルインテリジェンスは多くの人が待ち望んでいたキラーアプリであり、15%以上が『iPhone16』に更新するだろう」とした。 iPhone16のリリースは今秋になる見込みだ。 オッペンハイマー・アンド・カンパニーのマーティン・ヤン氏は、消費者は主により大きなディスプレーやより良いカメラを望んでいるかもしれないが、今回のAIアップデートはアーリーアダプター(初期ユーザー層)に魅力的に映リアプリ内やアプリ間での利用を促進すると指摘。これにより「コンシューマー向けAIでアップルはすぐにリーダーになりそうだ」と述べた。