兄は元プロ野球選手の“赤ゴジラ”、EC支援のマージェリック嶋社長が「野球」を通じてナイジェリアの社会問題を解決する新プロジェクトとは
ナイジェリア現地で原材料調達、加工、製造を実現。そして野球グローブが完成
プロジェクトスタート当初、「日本の伝統縫製技術×傷などがある規格外の革×ナイジェリア製造」をコンセプトに、グローブ製造の準備を進めていた。しかし、ナイジェリア国民が手軽に購入できる販売価格まで、牛革の仕入れ価格などの原価を下げることが難しいとうい問題に直面。野球グローブの素材である牛革は現地で調達することに。そして、アフリカ牛革を探すために多くの州に足を運んだ。 そこで出会ったのが、 Globus Enterprises Nig Ltdという現地企業。質の高い野球グローブのための牛革加工というマージェリックの要求を快く受け入れ、現地での牛革加工が始まった。「日本の牛と違い、人間も栄養が足りないように、牛も栄養が足りません。 痩せ細っており、完璧な理想の牛革とは言えないが、何度も加工を繰り返し、妥協ではなく、磨き上げた完成形」(マージェリック)の野球グローブ用牛革が完成した。
そして、野球グローブを製造するためのミシンや牛革購入の資金を集めるクラウドファンディングを実施。その支援を通じ、グローブ製造の工房が完成した。現在、その工房では5人ものスタッフが働く。
この製造現場で責任者として現地に駐在しているアミールさん。過去に日本の独立リーグである北海道ベースボールリーグ(HBL)の「HBL富良野ブルーリッジ」でプレーした経験を持つ。野球を始めた9歳の時、周囲から「野球なんてお腹が減るだけ!やめなさい」と言われた。アミールさんの出身は世界の貧困国に数えられるブルキナファソ。幼少期から就労するのは当たり前で、1日1食を食べるのがやっとの環境だったという。 アミールさんのメッセージ 野球をプレーすること自体が否定されてしまう環境下、アミールさんは歯を食いしばり野球を続けた。ブルキナファソ代表キャプテンとして2019年春の「東京五輪 アフリカ予選」で過去最高順位のベスト4進出。現在は、グローブ製造に従事する傍ら、アフリカ野球振興を通じて、新品の野球グローブをアフリカ全土へ流通させるための取り組みも行っているという。 このような経緯、環境、人物らが携わり、「Japanese quality」「Made in Nigeria」というコンセプトのグローブが完成。日本で初披露する機会を得た。埼玉西武ライオンズ主催のファンイベント「LIONS THANKS FESTA 2024」(11月23日)にブース出展できることが決まったのだ。