「洗練度」が期待に届かず マツダCX-80 2.5 PHEVへ英国試乗 キラリと光る3.3Lディーゼル
洗練度が高いとはいえないパワートレイン
それでは公道へ出てみよう。2.5Lプラグイン・ハイブリッドは、英国でのCX-80の販売で、大半を占めると予想されている。だがマツダは、電動化技術の経験が深くない。上級至高という括りを抜きに、大型SUVとして、洗練度が高いとはいえなさそうだ。 EVモードを選択すると、駆動用モーターだけで走行でき、低い速度域では扱いやすい。 しかし、ウィーンという唸りが車内へ響くうえ、電気だけで走れる距離は現実的に48km程度だ。 2.5L 4気筒ガソリンエンジンは、回転時の振動が少し目立つ。ノイズも小さくなく、充分なトルクを得るには高めの回転数へ引っ張る必要があり、若干の粗さも感取される。 2025年を凌ぐ技術として、物足りないことは否めない。システムがパワフルなことは、間違いないのだが。 8速ATの変速も、シームレスとはいえない。高めの速度域を保った運転が、面白いと感じられるタイプではないだろう。また、長距離ドライブの場合は燃費も褒めにくい。11.5km/L前後と考えて良さそうだ。 パワートレインは、3.3Lディーゼルの方が好印象。BMWの同等ユニットほど上質ではないものの、扱いやすく、CX-80をキビキビと走らせる。高速道路を巡航させれば、17.5km/L近い燃費も得られる。
乗り心地は期待に届かず 操縦性は良好
CX-60より優れた乗り心地を求めて、CX-80ではリアのアンチロールバーを除去。コイルスプリングをソフトにし、快適性を高める努力がなされた。サブフレームのブッシュや、フロントのウイッシュボーンの形状は調整され、操縦性も穏やかになっている。 それでも、傷んだグレートブリテン島のアスファルトを、快適に走れるとは表現しにくい。フワフワと、若干落ち着きに欠ける印象が伴う。滑らかな道をゆったり走らせている限り、サスペンションが優しく上下し、心地良いのだけれど。 ステアリングの反応はダイレクト。引き締まった姿勢制御で、後輪駆動に近いフィーリングがほのかに香る。ボディサイズの大きさを、忘れることはないとしても。 このクラスのSUVとして、操縦性のバランスには優れている。細めのリムのステアリングホイールには、路面の感触やサスペンションの負荷状態も伝わってくる。マツダらしい強みといえるが、及ばない面を補うと感じるかどうかは、意見が分かれそうだ。 最大牽引重量は、2500kgまで。リアカメラには、トレーラーヒッチ・ビュー機能が備わり、連結時の助けになる。