倖田來未であることをやめてしまおうか――「実は自信がない私」と歩んできた20年
旦那さんとならリヤカーを引ける
11月に誕生日を迎え、39歳になった。40代は目前だが、気持ちは20代のままだと笑う。 「もう最近は、とにかく『年齢に逆らって生きろ』みたいな、どうにかちょっとでも綺麗でいたいっていろいろやってます。『エロかっこいい』と言っていただきましたけど、やっぱり若い頃は露出が多めのファッションづくりをしてきました。でも、かっこよさは引き算というか、隠すことも大切だと思っていて。露出は少なめでもセクシーに見せられる方法はあるんじゃないかな、と」
結婚してからの10年は、あっという間に過ぎていった、と振り返る。30代、安定して芸能活動を続けてこられたのは、やはり家族のおかげだ。 「旦那さんとなら、リヤカー引けるな、って思って、結婚しました。音楽活動ができなくなってしまったとしたら、カレーでも作って売ろうか、って言うと、いいよ、って答えてくれる人。倖田來未を応援しながらも、來未子としての私も、ちゃんと見てくれている。絶対に味方でいてくれる安心感があるんです」
さらに遡って、デビューしてからの10年を過ごした20代は、本人いわく「イケイケドンドンという感じ」。数年の下積み時代は悔しい思いもしたが、若さで乗り切ってきた。 「クラブで歌っていた時代は、マイクの音が出ないとか、お客さんが3人しかいないとか、瓶ビールの箱の上にベニヤ板のステージとか、そういうところで歌ってきて、だんだんファンの方が増えて、大きなホールを埋めることができるようになっていった。やりたいことを、次々と形にできた時代でした。とにかく20代は刺激的でしたね」 ソロアーティストとしてドームライブを成功させたことが、20代の倖田にとって、最も誇らしい出来事だという。
「倖田來未」という芯を曲げなかった
今月、倖田はデビュー20周年を締めくくるオールタイムベストアルバムを発売する。サブスク時代にあっても、やはり形に残るCDには強い愛着がある。 「配信は便利ですし、世界的にも聴いていただけるから、すごくいいと思うんです。ただ、たぶん何年もしたら、またCDに価値が出てくるんじゃないかな、と思ってます。倖田來未の20年の歴史を楽しんでいただけたら嬉しいですね」 20年以上、多くのファンから愛され続ける、その秘訣は何だと思うかと尋ねると、目を輝かせて答えた。 「『倖田來未』という芯を曲げなかったこと、かな。いろんなつらい時期もありましたけど、家では自信のない『來未子』という女性が、堂々としたパフォーマンスを見せる『倖田來未』のスタイルを貫いてきた。アーティスト、女性像を、ブレずに持ち続けてきたことが、今につながっているのかな、って。もう家やったら、ずっとテレビ見ながらアイスやお菓子を食べてるんで。でも、来週からそろそろ撮影始まるな、となったら、食事を控えたりとか(笑)」 自分自身の中で見つけてきた「倖田來未」というスタイル。根本はそのままに、さらなる進化を続けている。
--- 倖田來未(こうだ・くみ) 1982年、京都府生まれ。2000年11月に「TAKE BACK」で全米デビュー。日本では同曲で同年12月にデビュー。以後数々のヒット曲を生み、東京ドーム公演や海外公演なども開催し、数多くの実績を残す。オールタイムベストアルバム「BEST~2000-2020~」(https://avex.lnk.to/kkBEST2020)を12月6日に発売。同日、「100のコドク達へ」(https://avex.lnk.to/kk100kodo)を配信リリース。