倖田來未であることをやめてしまおうか――「実は自信がない私」と歩んできた20年
出会ってからずっと、旦那さんに恋をしているんです
いまでこそ公私ともに充実しているが、2011年の結婚当初は引退も考えた。 「妊娠がわかってすぐ、報道されてしまいました。祝福の声もありましたが、バッシングもありました……。私は、理想の家庭像として、旦那さんも子どもも支えて、幸せにしたい、そういう思いが強かった。私のプライベートの変化で周囲がこんなに大変な思いをするんだったら、倖田來未であることをやめてしまおうか、と」
引き留めたのは、「君は『倖田來未』であり続けるべきだ」という夫の一言。そして、「元気な赤ちゃんを産んで、戻ってきてね」というファンからのメッセージだった。 「そうか、私にしか『倖田來未』はできないんだな、って。待っていてくれるファンがいるなら、歌い続けようと思いました。一緒に音楽を作ってくれる彼が隣にいて、本当に嬉しかった。私、出会ってからずっと、旦那さんに恋をしているんです。捨てられたらどうしよ、そんな不安もあるくらい(笑)」
SNSでは、ファミリーはもちろん、プライベートなショットはあまり掲載していない。影響の大きさを考えて、あえてそうしているのかと問うと、意外な答えが返ってきた。 「私ね、普段は押しつけがましいんですけど(笑)、プライベートな部分を見せるのって、苦手なんですよ。『これ、何か言われたらどうしよう』とか、『こんな服着ていいの、ちょっと露出させすぎちゃう?』とか、來未子、あ、本名が來未子なんですけど、実際の私は、意外とかなり人見知りなんです。『倖田來未』とは、真逆な性格で。ちょっとさっき、ご挨拶するとき、一瞬來未子が出ちゃったなと思って……ごめんなさい」 人見知りで臆病な「來未子」が、自分にないもの、理想を投影してつくり上げたのが、自信に満ち溢れたボーカリスト「倖田來未」なのだ。 「別に偽ってるわけじゃないんですけど、やっぱり、私とファンとの間で共有している『倖田來未』像は、あまりプライベートな部分を必要としないというか。なんか、本当の自分は、自信がないんです。私生活では『どや、どや』って見せられるものがない。インスタグラムでも、ちょっとプライベートっぽいものを投稿しようと思うんですけど、『あんまり投稿してたら押しつけがましいしな』って思っちゃって(笑)」