高松商、振り返る 掲げた“作戦”手応え 実力出せるチームへ成長を /香川
<センバツ高校野球> 平成最後の第91回センバツは東邦(愛知)が制し、幕を下ろした。3年ぶりの出場で1勝を挙げた高松商だが、実力を発揮できれば高松商も決勝の舞台に立つチャンスは十分にあったと感じる。チームが掲げる「コツコツネバネバ大作戦」は全国に通用するという手応えと共に、甲子園という大舞台で力を出し切る難しさを感じた大会だった。【潟見雄大】 【熱闘センバツ全31試合の写真特集】 春日部共栄(埼玉)との初戦は投打で圧倒し8-0で快勝。強豪との試合で実力を見せつけただけに「2回戦も突破できる」との期待が大きかった。 しかし2回戦、市和歌山(和歌山)との試合は序盤の失点が響き、劣勢をはね返すことができなかった。先発は背番号「10」の中塚公晴投手(3年)。序盤からリズムをつかめず四回途中、自責点4で降板。2番手で登板したエースの香川卓摩投手(同)が五回以降を無失点で切り抜けただけに、「なぜ香川投手が先発しなかったのか」という声を試合後に多く聞いた。 長尾健司監督は試合後、「香川が投げているから全力で、それ以外の投手なら全力でないというわけではない」と話した。「甲子園に来られたのは、間違いなく中塚のおかげ」と中塚投手への信頼は厚い。昨秋は「同程度の実力を持つ投手が2人」(長尾監督)いることで、相手や局面を選ばずに起用できたことが大きかった。四国大会決勝や明治神宮大会準決勝など、大事な試合の先発も中塚投手は任されてきた。 では、勝つには何が足りなかったのか。実は中塚投手は3月上旬にフォームを崩し、練習試合でも結果を出せないままセンバツに臨み、本来の調子とはほど遠い出来だった。徐々に復調しつつあったが、打線を抑えられるほどかどうかを見極められる機会が1回戦の春日部共栄戦だったのではないかと思う。 春日部共栄戦は七回までに8点の大量リードとなった。油断は禁物だが、比較的、余裕のある局面で投げることで、2回戦に向けて自信を付けさせるメリットもあった。 打線も初戦に比べ、物足りない結果に終わった。浅野怜選手(同)は「チーム全体として浮足立ち、慌ててしまった」と振り返る。2回戦は先攻で、序盤から追いかける展開。後攻で守りからリズムを作るいつもの展開に持ち込めず、選手たちは「いつもと違う」と感じたまま四回まで無安打に抑えられ、ボール球に手を出して凡退する場面もみられた。フライアウトも11個と本来の打撃ができていなかった。 それでも甲子園での2試合は収穫も多かったはずだ。立岩知樹選手(同)は「好投手との対戦や大観衆の中での試合を経験できた」と語る。この経験を生かし、夏にはいつでも自分たちの実力を出せるチームに成長してほしい。 ……………………………………………………………………………………………………… ▽1回戦 春日部共栄 000000000=0 00102410×=8 高松商 ▽2回戦 高松商 000002000=2 12030000×=6 市和歌山