『フォールガイ』デヴィッド・リーチ監督 ポップコーン映画を賞賛したかった【Director’s Interview Vol.427】
『ジョン・ウィック』(14~23)シリーズや『デッドプール2』(18)『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』(19)とアクションの快作を次々と世に送り出し続けるデヴィッド・リーチ監督。今ハリウッドでもっとも勢いのあるアクション映画の製作会社87ノース・プロダクションズを率いて、『ブレット・トレイン』(22)に続いて放つ最新作が『フォールガイ』だ。 そもそもリーチ監督はスタントの分野で認められハリウッドでのし上がってきた気鋭であり、そんな彼がスタントマンの映画を撮るとなれば、ありきたりのアクションになるはずがない。車の横転回数や落下の距離などギネス級のスタントを次々と披露し、スタントの世界に陽を当てている。本記事ではデヴィッド・リーチ監督のオフィシャルインタビューを掲載、ぜひお楽しみください。
『フォールガイ』あらすじ
大ケガを負い、一線を退いていたスタントマン=コルト(ライアン・ゴズリング)。愛する元カノ・ジョディ(エミリー・ブラント)の初監督作で久々に現場復帰するが、主演が突如失踪してしまう!行方不明のスターの謎を追ううちに、コルトは危険な陰謀に巻き込まれることに…。彼は己のスタントスキルで、この危機を突破できるのか!?
昔ながらのスタントへのオマージュ
Q:スタントマンについての映画を撮ろうと思った理由は何ですか? デヴィッド:僕はオリジナルの作品が大好きだった。それは子供の頃に、スタントパフォーマーになりたいと僕の心に火をつけたものなんだ。そして、今作を作る機会がやってきた時、スタント・コミュニティーを讃え、ブルーカラーのヒーローを見つけ、スタントパフォーマーの素晴らしさと彼らのスキルにスポットライトを当てるのは、当然の選択に感じられた。それと、銃を必要としないアクション映画をやるのはね。スタントマンはバイクにも乗れるし、飛び降りることもできる。それ自体が、人々がまだ掘り下げていない新しいアクション・ジャンルだったんだ。 Q:スタントマンをフィーチャーした映画ゆえ、多くのアクションシーンがあります。一番こだわったシーンを教えてください。 デヴィッド:スタント部門はたくさんのすごいシーンに気を使っていた。正しくやるためにR&D(研究開発)しなければならないことがたくさんあったよ。というのも、僕たちはこの作品を、クラシックな昔ながらのスタントへのオマージュにしたかったから。そして、可能な限り、それらをプラクティカル(現場でやる方法)でやりたかった。そして、それらを、その中で最高のバージョンにしたかったんだ。世界記録を塗り替えた、車が回転するシーンがある。あれはスタントチームが何ヶ月も何ヶ月もかけて取り組んだものなんだ。 でも、僕にとっては、ちょっと楽しいドラマチックなシーンもあった。(スタントマンのライアンに)火をつけるシーンがあって、そこでは、エミリーとライアンのキャラクターが登場し、みんながいる撮影現場で、映画について謎めいた会話をしながら、2人の関係を詳しく説明するんだ。あのシーンの撮影は、僕が最も誇りに思うものだった。なぜなら、あのシーンはこの映画にとって象徴的なものだからね。 Q:色んなスタントがある中、ヒヤッとしたアクシデントもあったのではないでしょうか? デヴィッド:たくさんのチャレンジがあったよ。常にリスクを軽減するためにできる限りのことをするんだ。リハーサルを何度も繰り返すことで、可能な限り安全性を確保するために徹底的な対策を講じるんだよ。でも、実際にやっているとき、目の前でそれが起きているのを目の当たりにしているときは、その結果が生死にかかわるのがわかっているから、ハラハラしているよ。