札幌ドームの赤字は本当に「日ハム移転のせい」だったのか…いま不振に陥っている「真の理由」
他のスタジアムは「民有民営」「公有民営」
国内のほかのスタジアムで見ると、プロ野球・ソフトバンクホークスの本拠地である「みずほPayPayドーム福岡」(福岡ドーム)は、大手スーパー「ダイエー」が建設費用を負担。投資会社への売却を経て、現在ではホークスの経営母体である「ソフトバンク」が保有している。1993年に開場した当初から、ずっと「民有民営」だ。 ソフトバンクは投資会社からの球場買収に約870億円を投じたものの、年間約50億円とも言われたリース料の削減などで、経営体質は改善したという。 「バンテリンドーム(ナゴヤドーム)」は、中日ドラゴンズのオーナーである中日新聞や中部電力・名古屋鉄道などが協議会を結成して建設に動き、運営主体である「株式会社ナゴヤドーム」の借入や増資によって建設費用550億円が賄われた。こちらも「民有民営」を貫いている。 「MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島(野球場)」「エディオンピースウイング広島(サッカー場)」は広島市の所有であるものの、当初から広島東洋カープ、サンフレッチェ広島といった、本拠地を置く球団が指定管理者となる「公有民営」方式。今のところ堅実経営を保っている。 札幌ドームから「大和ハウスプレミストドーム」に呼称が変わっても赤字体質は変わらず、これまでの黒字貯金(利益剰余金)約22億円を取り崩していくだろう。今後はどう「公有公営」のまま赤字額を減らしつつ、必要とされる球場の機能を維持できるのか。その成否を見守っていきたい。 【つづきを読む】『「札幌ドーム」最終年より観客動員数が爆増中…!日ハム「エスコンフィールド」試合がなくても稼げる「驚きの理由」』
宮武 和多哉(ライター)