「うどん県」の「ヤドン」の作品が誕生 ポケモン社の一言がきっかけ
香川県立高松工芸高校の生徒が、「うどん県PR団」に任命されているポケモン「ヤドン」とのコラボ作品を制作した。作品は漆芸2点とポスター10点で、9、10両日に同校であった「工芸展」でお披露目された。 【写真】ヤドンのラッピングが施されたフェリー きっかけは昨夏のこと。県の情報誌の企画で、池田豊人知事とポケモン社の最高ビジネス責任者・伊藤憲二郎さんの対談があった際、伊藤さんから「工芸高校の生徒にぜひヤドンをテーマにした作品を作ってほしい」と提案があった。その後、県から同校に打診し、県予算もつけた作品制作が決まった。 ■研究重ね 形も色も正確に 香川の漆器産業の活性化を目的とした部活「Creative7部」の部員が制作したのは、うつぶせとあおむけのヤドン各1体。型作り部門と塗り部門に分かれ、今年度に入ってからお披露目直前まで作業をして完成させたという。 型作りは、2年の生徒2人を中心に作業した。イメージをつかむために、ヤドンのプラモデルや人形を見て研究。油粘土で作った模型を石膏(せっこう)で型どりし、最終的にはプラスチック素材で原型を作ったという。 10人ほどが関わった塗り部門で使った技法は「変わり塗り」。下地も含めて10回以上塗っては研ぐ工程を繰り返して仕上げた。1体はヤドンのピンク色を再現し、もう1体はモンスターボールのスタンプを作って、ピンク、黄、青などで文様を表現した。 塗りを担当した2年の部長、小島煌梨(きらり)さん(16)は、「ヤドンファンに見てもらって、どれだけ正確に表現できているか見てほしい」。 ■他のポケモンとコラボしたポスターも ポスターはデザイン科2年の授業の一環で作った。3人1組となり、県内の名所の栗林公園や、しっぽくうどんなどとヤドンを絡めてデザイン。キャンバスにアクリル絵の具で描いた。 小豆島のオリーブ公園をモチーフにしたポスターでは、オリーブをモチーフにしたポケモン「ミニーブ」を盛り込んだ。 制作者の一人、釜野瑚雪(こゆき)さん(16)は「ヤドンだけでなく、背景にも力を入れたので、小豆島のオリーブときれいな風景を見てもらえたら」と話した。 ■ヤドンも来校 新橋で展示へ 9日は、池田知事とヤドンが来校し、作品を鑑賞した。池田知事は「ポケモンを玄関に、漆芸などに関心を持ってもらえる」と話した。作品は今後、県のPRで使う予定で、来年2月からは、東京・新橋にあるアンテナショップ「香川・愛媛せとうち旬彩館」でヤドンの漆芸作品を展示する。(内海日和)
朝日新聞社